よみタイ

2年間の〝おじさん美容生活〟で辿り着いたひとつの結論。「毎日の化粧水とシートマスクだけで人生バラ色だ!」

 シートマスクについては、かのMEGUMIさんも著書でおススメしている「ルルルンプレシャス」の緑を愛用している。あとは酒粕マスクもお気に入り。それとは別に安価で大量に買える韓国製のものもよく使っている。ハチミツやカタツムリ、果てはサソリのエキスまで配合された変わり種まであって全然飽きが来ない。美容の世界にもサブカルはちゃんと存在していて安心する。ただし、効果は未知数。
 朝用、夜用と時間帯において使い分けをするタイプもある。昔付き合っていた女性が自分の唾を変態に売って生計を立てているようなたくましい女性だったのだが、その子がよく言っていた。「変態さんが言うにはね。朝の唾と夜の唾って風味がちょっと違うらしいよ」って。マスクにもそれと同じことが言えるってわけか、いや全然違うな。
 化粧水とシートマスクを自分の手で揉み合わせてマスクを作る「ぎゅっぷる」という製品もある。お菓子の「ねるねるねるね」にも似たこういうひと手間かけるタイプに私は滅法弱い。きっと一生弱い。
 最近ではドラッグストアや百均でも自社ブランド製品を多数展開しているので、いろんなお店に足を運んではそういうのを探すのが楽しい。
 最近使った中でしっくりきたのは「采乃汲」の和漢マスク。100パーセント天然成分由来の和漢植物エキスがふんだんに使われており、合成色素・人工香料・鉱物油不使用という優れものである。あとは「インフィニティ」のオールインワンフェイシャルマスクという化粧水、乳液、美容液の効果がひとつにまとまったものが面倒臭がりな私には本当にありがたい。

「ルルルンプレシャス」と「酒粕マスク」。
「ルルルンプレシャス」と「酒粕マスク」。
「ぎゅっぷる」や、百均ブランド、韓国コスメにも注目している。
「ぎゅっぷる」や、百均ブランド、韓国コスメにも注目している。
いまおすすめの「采乃汲」の和漢マスク。
いまおすすめの「采乃汲」の和漢マスク。

 いつのまにか、化粧水とシートマスクは、私の生活になくてはならないものとなった。
 作家という職業を営んでいるが、私は文章を書くのがそれほど好きではない。好きではないが、自分の手で面白いことを表現しようとしたときに、文章を書くしか私には手段がなかった。だから、どんなに辛いことがあっても私は文章を書き続ける。
 美容もそれと同じ理屈で、私は別にそこまで美しくなりたいわけではない。私は老若男女問わず誰かと話すことが大好きだ。不潔な私のままでは、だらしない恰好をした私のままでは、私と向き合って話そうとしてくれる人が少なくなってしまう。だから美容が必要なのだ。
 寂しがり屋のおじさんはみんなに相手をしてもらえないと死んでしまうから、少しだけマシなおじさんになりたい。こんな私の傍にいてくれる恋人が恥ずかしい思いをしないように、ちょっとだけ格好良いおじさんにもなりたい。だから私はこれからも化粧水とシートマスクをやり続ける。
 
 そんなおじさんから切なる願いが二つある。私のように顔がデカい男性用のシートマスクがもっと増えて欲しい。大きめサイズの服で有名なサカゼンのようなブランドができたら、私は小躍りして喜びます。
 そしてもう一つ。トークイベントやサイン会などで差し入れをいただく機会があるのだが、無類のシーチキン好きを公言しているせいか、両手に溢れんばかりのツナ缶をいただくことが多い。それはそれで非常にありがたいのだが、これからは美容に関する豆知識なんかも教えていただけたら嬉しいです。
 あなたの力で、爪切男はもうちょっとだけマシなおじさんになるかもしれません。

ルルルンのマスクでご機嫌だぜ
ルルルンのマスクでご機嫌だぜ

当連載は毎月第2、第4日曜更新です。次回は7月14日(日)配信予定です。お楽しみに!

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爪切男

つめ・きりお●作家。1979年生まれ、香川県出身。
2018年『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)にてデビュー。同作が賀来賢人主演でドラマ化されるなど話題を集める。21年2月から『もはや僕は人間じゃない』(中央公論新社)、『働きアリに花束を』(扶桑社)、『クラスメイトの女子、全員好きでした』(集英社)とデビュー2作目から3社横断3か月連続刊行され話題に。
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公式ツイッター@tsumekiriman
(撮影/江森丈晃)

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