2024.2.11
44歳、人生で初めて納豆を食べてみた。せっかくなので400回かき混ぜてみた
前回は大人気の「チョコザップ」に入会し、適度の運動を始めた著者。今回は「畑の肉」大豆から作られる発酵食品で、スーパーフードといえるほどカラダによい納豆を、生まれてこの方、一度も食べたことのない著者が挑戦します。
(イラスト/山田参助)
第38回 ハイパーハードボイルド納豆レポート
人生で一度も納豆を食べたことがない。それなのに、これまで付き合った女性はもれなくみんな納豆が好きだった。
「納豆って美味しいよ? 一緒に食べない?」
「納豆味のキスしてあげる~♪ それなら平気でしょ!」
女の子の頼みには滅法弱い私だが、どれだけ可愛く頼み込まれても納豆を口にすることだけはなかった。
匂い、見た目、ネバネバ、納豆の全てが苦手だ。統計的に西日本の生まれには納豆嫌いが多いそうだが、どうやら私もその一人らしい。
親が納豆嫌いだったこと、私の通う学校では給食に納豆が出なかったこともあり、納豆を知らないまま私はオッサンになった。大人になると、昔より納豆が気持ち悪い食べ物に見えて仕方がなかった。子供の頃は平気だった昆虫を、大人になると全く触れなくなるのと同じことかもしれない。
「高血圧予防」「アンチエイジング効果」「ダイエットに最適」「免疫力向上」など、納豆が健康にいい食べ物であることは、TVや雑誌で散々目にしているので重々承知である。だが、納豆の他にも健康に良い食べ物は山ほどあるじゃないか。今さら納豆を食べる必要がどこにあるのだ。そして一度でいいから、納豆嫌いの女の子と付き合ってみたかった。
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そんな風に思っていた私が、四十四歳にして初めて納豆を食べようと思い立った理由、それは「マンネリ打破」である。
美容と健康に良い生活を続けてはいるものの、ここ最近の私ときたら、お肌の張りは普通、体調はまあまあ、体重は80キロ台後半と90キロ台を行ったり来たりと、なんとも代わり映えのしない毎日を過ごしている。
現状維持も大切だが、目に見えるような効果のひとつでもないと、モチベーションは下がっていく一方である。
このままではいけない。マンネリを打破する何かが必要だ。偶然を待っている暇はない。生活におけるドラマとは、自分の手で起こさねばならないのだ。
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そこで白羽の矢が立ったのが「納豆」というわけである。
しかし困った。私は納豆のことを全くといっていいほど知らない。インターネットでリサーチを重ねてみたものの、何が本当かさっぱりわからない。基本的にSNSの人たちが言うことは信用していないので、同棲中の恋人に救いを求めることにした。過去の恋人たちと同様に、彼女もまた無類の納豆好きである。
私が納豆を食べられるようになれば、食事のバリエーションが増え、毎日の献立作りが楽になるとのことで、全面的なバックアップを彼女は約束してくれた。もう鬼に金棒だ。
彼女が書いてくれたメモを手に、近所のスーパーに買い出しへ。今まで見向きもしていなかった納豆コーナーを散策する。大学生の時分、いっちょまえにジャズをかじり始めたあの頃、勇気を出して老舗のジャズ喫茶に足を踏み入れたときの胸の高鳴りを思い出す。レコードを掘るのも楽しいが、納豆を掘るのもまた楽しからずや。
購入したものは写真の通り。納豆初心者には、粒納豆よりもひきわり納豆の方が食べやすいらしい。加えて、ひきわり納豆には「ナットウキナーゼ」という血液をサラサラにする酵素が多く含まれているので、高血圧に悩む私にはもってこいである。
パッケージに描かれている可愛い女性のイラストに釣られ、小粒納豆も購入してしまった。つくづく私は女に弱い。その他には、納豆を食べる時のアレンジに使う大根、沢庵、長芋も購入。これで戦いの準備は整った。
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