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名古屋市長選挙の熱き戦いは河村たかし氏の当選で終わった。しかし大村愛知県知事との戦いは終わらない。

市政記者クラブ主催の記者会見にて筆者の質問に答える河村氏。(撮影/畠山理仁)
市政記者クラブ主催の記者会見にて筆者の質問に答える河村氏。(撮影/畠山理仁)

「あの世の総裁選は、吉田茂とかいますよ」

 バケツの水かけから1時間後。会場を名古屋市内のホテル宴会場に移して、市政記者クラブ主催の河村たかし氏記者会見がセットされた。
 この会見は、記者たちがホテル宴会場の費用を負担して行われる。私は先日正会員になった「なごやメディア研究会(なメ研)」の一員として参加した。
 「なメ研」は中部圏でメディア活動をしている人たちの団体で、代表は元中日新聞記者の関口威人氏だ。関口氏は私が記者クラブ問題に取り組んでいた10年以上前に私に声をかけてくれた。今回の会見では「なメ研」も会場費用を一部負担していたため、市政記者クラブのメンバーではない私も質問できた。「なメ研」には感謝しかない。

 私は河村氏に、投票率が5.22ポイントもアップしながら(最終投票率42.12%)、前回の得票から5万6181票も減らした理由(今回は398,656票)をどう考えているか聞いた。

「そりゃあ、リコールでしょう。偽造署名の。誰がやった、というわけで。私は無関係で、どなたかが犯罪を起こされた。それがマスコミの力によって、なんか河村さんが関与しているかのような報道が相当あった」

 河村氏は今回の市長選挙を「最後の選挙」と言って戦っていた。しかし、河村氏はずっと「総理を狙う男」を売りにしていた。現在はまだ総理になれていない。河村氏自身は、何が足りなかったと思っているのか。

「家業化された政治の中で推薦人20人集められなかった。18人まではいった。私も。嘘じゃない。政治は嘘にまみれてますけど、本当に18人までいった。なかなか難しい。家業化されていると。派閥って金なんでしょう? 金と地位と。挑戦はしてきたけど、まぁ今んとこダメですわね。どうしたらええんですか。教えてちょー(笑)」

 目指し続けるしかないのでは。

「いやー。んだで、まあ、あの世になるかもわからん。あの世の総裁選は、吉田茂とかいますよ。つええ(強い)人たちが」

 逆にライバルが多いのでは。

「そうそうそう。あの世の総裁選のほうが大変ですよ」

 生きている間は無理ですか?

「寿命がある」

 今回が最後の選挙?

「市長選はね」

 市長選、は最後?

「はい、そうです」

 選挙戦であれをやっておけばという、やりのこしたことはないですか?

「自民党の嘘で断定した本会議での話をみんな名誉毀損で訴えたれば(訴えてやれば)よかった」

 もし、今回の市長選で落選していたら、国政に挑戦していた可能性は十分に感じた。

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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