2021.4.12
「ポテンシャルが高く、真剣に楽しめる」大注目の名古屋市長選挙戦、最速&候補者4名の告示日レポート!
「事実上の一騎打ち」とは書けない。書かない。
4人出ている。しかし、報道で扱われるのは2人しかいない。税金が4億7千600万円以上も使われる選挙なのに、これはきわめてもったいない。
4月11日、名古屋市長選挙(4月25日投開票)が告示された。私は告示日にあわせて名古屋に入ったが、現地の報道を見て悲しくなった。新聞、テレビなどの主要メディアが「事実上の一騎打ち」と同じように報じていたからだ。
もちろん、各メディアには編集権がある。どんな報道をするのも自由だ。
しかし、私は「勝ち負けだけを重視する選挙」にしてしまうのは、本当にもったいないと思っている。
選挙は骨の髄まで味わったほうがいい。楽しんだほうがいい。誰もが参加したくなるお祭りにしたほうがいい。政治の影響を受けない人はいないのだから、一人でも多くの人が参加したほうがいいに決まっている。
私がこんなことを言えるのは、有権者を信頼しているからだ。自分の一票で結果が決まる選挙に、ふざけて参加する人などいない。私はそう信じている。
その意味で、今回の名古屋市長選挙はかなりポテンシャルが高い。真剣に楽しめる。名古屋市民に限らず、全国の人たちも大いに楽しんでほしい。
今回の名古屋市長選挙に立候補したのは全部で4人だ(届出順)。
河村たかし(かわむら・たかし)72歳・減税日本代表=無現
押越清悦(おしこし・せいいち)62歳・NPO代表=無新
横井利明(よこい・としあき)59歳・元名古屋市議長=無新、自・立・公・国
太田敏光(おおた・としみつ)72歳・元会社員=無新
私は選挙に挑戦する多くの候補者の苦労を見てきた。その一人として、とてもではないが「事実上の一騎打ち」とは書けない。書かない。このことだけは強調しておきたい。
立候補には必要な供託金240万円は、有効投票総数10%未満で全額没収。
名古屋市長選挙に立候補するには240万円の供託金が必要だ。当然、今回立候補した4人全員が同じ額の供託金を納めている。この供託金は有効投票総数の10%を得られなかった場合、全額没収される。ポスターやビラの印刷代も自己負担になる。
考えてみてほしい。これはものすごいリスクだ。私には240万円もの大金を投じて自分の考えを世に問う勇気がない。だから私は高いハードルを越えて選挙に挑む人たちの訴えに、一度は耳を傾けてみたいと思っている。
みなさんはどうだろうか? 一度でも「自分が立候補する」という可能性を検討してみたことがあるだろうか。そのことに思いを馳せれば、実際に自分が立候補することはなくても、その大変さがわかるはずだ。
それぞれの候補者は大変な覚悟を持って立候補している。大きなリスクを背負い、有権者の選択肢になろうとしている。こうした人たちがいなければ選挙は成立しない。
候補者をバカにする風潮は、新たな挑戦者を萎縮させる。だから候補者に対してはおおらかな気持ちで接してほしい。
心配することはない。最終的に誰に投票するかは、有権者一人ひとりが誰からも侵されることのない権利として持っているからだ。
当選させたくないと思う候補には入れなければいい。一方で、自分の持つ貴重な一票を行使しないことで、当選させたくないと思っていた候補が当選する可能性もある。だから私は繰り返し「投票に行ったほうがいいんじゃないか」と言っている。
多様な候補者の出現に恐れることはない。当選させたいと思う人のために、支援の輪を広げればいい。一票でも多く。それが民主主義社会における自由な選挙である。
「選挙を通じて市民のための政策を練り上げる」ことも選挙の大切な機能。
もう一つ、私が全候補者を追う理由がある。それは「選挙の機能」からくるものだ。
選挙が持つ大切な機能は「当選者を決めること」である。しかし、もう一つ、忘れてはならない大切な機能があると私は思っている。
それは「選挙を通じて市民のための政策を練り上げる」ことだ。
各候補者が打ち出した政策には、有権者から賛否の声が上がる。高く評価する声もあれば、酷評されるものもある。有権者のみなさんには、ぜひ、各政策に対する自分の思いを候補者に伝えてほしい。
他の候補者の政策でも、「いい」と思った政策は自分が応援する候補者に伝えてほしい。政治家に自分の思いを伝えることで、政治は確実に良い方向に変わる。多額の税金が使われる選挙という絶好のコミュニケーション機会をどんどん利用してほしい。
4人の候補者が掲げる政策は「市民のため」に考えられたものだ。必ずどこかに学ぶべき点がある。もし、学ぶべき点がなかったら、それはそれ。採用しなければいい。しかし、他候補の政策であっても、いいと思えるものはどんどん採用してほしい。
世の中はいろんな人で構成されている。これから「全体の奉仕者」になろうとする政治家にとって、他の候補者が訴える政策を知ることに損はないはずだ。