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新型コロナウイルス対策で自粛ムード一色の中でも選挙は行われる。今こそ「インターネット投票」の導入を検討すべき?

同じく2019年7月の群馬県知事選挙での山本一太現知事の選挙活動。こうした有権者との直接的なふれあいも今はできない。(撮影/畠山理仁)
同じく2019年7月の群馬県知事選挙での山本一太現知事の選挙活動。こうした有権者との直接的なふれあいも今はできない。(撮影/畠山理仁)

新型コロナでも延期されない熊本県知事選挙

 安倍総理の「要請」により、日本社会は「自粛ムード」に包まれている。
 屋内で行なわれるコンサートやライブは軒並み中止になった。春の選抜高校野球も中止になった。3月10日には安倍総理が大規模イベントなどの開催について、今後10日間程度の自粛を継続するよう求めた。

 しかし、こうした状況の中でも中止されず、予定通り実施されている大イベントがある。

 3月5日告示、3月22日投開票の熊本県知事選挙だ。
 もちろん通常の選挙とは様相が異なる。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、選挙の風物詩である演説会、とくに屋内での集会開催が難しくなっているからだ。

 現職の蒲島郁夫かばしまいくお候補は、知事として新型コロナウイルス対策に全力で取り組んでいることを理由に「選挙期間中も公務に専念」することを自身の公式サイトで発表している。
 政策や実績については「ホームページによる発信、選挙公報や政見放送など」で伝えるとし、「選挙カーは使わない」ことも表明した。つまり、有権者は生身の蒲島候補にはほとんど会えないことになる。

 一方、新人の幸山政史こうやませいし候補は選挙告示前の2月25日、県選挙管理委員会に対して「選挙の延期」を申し入れていた。
 これは県が2月21日に「不特定多数が集まる屋内での主催行事を3月末まで原則延期または中止する」と発表したことが背景にある。
 個人演説会などの開催が難しくなれば、有権者に情報が十分に行き届かない。通常の選挙時でも「え? 今って選挙期間中なの?」と言い放つ有権者が実際に存在するからだ。
 公職選挙法には「天災その他避けることのできない事故」の場合など、投票期日を延期する「繰延投票」の規定がある。また、阪神淡路大震災、東日本大震災の際には、臨時特例法によって選挙期日が延期された例もある。延期はまったく不可能なわけではない。

 しかし、今回の熊本県知事選挙は延期されず、当初の予定通り行なわれている。

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新刊紹介

畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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