2020.1.6
台湾、アメリカ……世界の選挙と比べて考えた、「日本人はもっと選挙を楽しむべき」だ
「国会議員チップス」を作って欲しい
今年はアメリカ大統領選挙の年でもある。各党の候補者選びは、全米で最初の「党員集会」が行なわれる2月3日のアイオワ州から本格的にスタートする。7月には民主党全国大会、8月には共和党全国大会が開かれる。9月から10月にかけては大統領候補、副大統領候補による討論会が複数回開かれる。そして11月3日にアメリカ大統領選挙が行なわれる。
私はアメリカ大統領選も現地で取材してきたが、選挙集会には子どももたくさん来ていた。親に肩車されて星条旗を振っているだけかと思っていたら、超満員のスタジアムの中心で「なぜ私がこの候補者を支持するのか」を中学生が堂々と演説するシーンもあった。ブルース・スプリングスティーンが歌を披露したり、ジョン・ボン・ジョヴィが応援演説をしたりもしていた。
コンビニエンス・ストアのセブン・イレブンでは、共和党支持者向けの赤いカップと民主党支持者向けの青いカップが置かれていて、それぞれの支持者がセルフサービスでコーヒーを買って街に繰り出していた。お店に残るカップの数で、その地域の支持者の数の差がひと目でわかる。それくらい身近に選挙を楽しむ仕組みがあった。海外では、選挙はみんなが楽しめるお祭りなのだ。
もちろん、日本で大抽選会や大宴会をやれば、公職選挙法に違反することになる。だから台湾やアメリカのようなことはできない。
しかし、そんな日本でも、有権者に線香を贈ったり、海産物や果物を配ったりする人がいる。運動員に法律で定められた額以上の報酬を払ってしまう人もいる。選挙の基本的なルールを破っても、議員を辞めずに済んでいるケースもある。つまり、公職選挙法に縛られた日本でも、今よりももっと選挙を楽しむ方法が生まれてくる可能性はある。
たとえば、みなさんはお菓子メーカーのカルビーが販売している「プロ野球チップス」を知っているだろうか? ポテトチップスのおまけにプロ野球選手のカードが封入された袋がついている商品だ。私はかねてから、プロ野球チップスの政治家バージョン、「国会議員チップス」を作ってほしいと考えてきた。
袋を開けるまでは、誰のカードが入っているかわからない。政治家のプロフィールや国会質問の内容、主要法案への賛否が書かれたトレーディングカードがあったら、私はものすごく欲しい。日本の政治家には、それくらい身近な存在になって欲しい。
今、日本の国会議員は衆議院465人、参議院242人いる。みなさんの中で、名前と顔が一致する政治家は何人いるだろうか。選挙に立候補した人も含めたカードを作れば、「レアカード」だらけになるかもしれない。
同じ政治家のカードでも「第47回総選挙」と「第48回総選挙」のバージョンでデータが違ったら、コンプリートしたい。子どもたちはカードで勝手に組閣を始めるかもしれない。ゲームのルールを考える人も出てくるだろう。選挙権のある大人は子どもに負けるわけにはいかない。親子間でも「絶対に負けられない戦い」が始まるはずだ。