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『42歳からのシングル移住』藤原綾さんと、“デュアルライフvs完全移住”良いとこ悪いとこ徹底トーク!

東京生まれ、東京育ちの“シティボーイおじさん”が、山中湖畔に中古の一軒家“山の家”を購入! 妻、娘、犬とともに東京←→山梨を行き来する2拠点生活=「デュアルライフ」をはじめました。 音楽や読書など山の家での趣味活動から、仕事やお金のやりくりといった現実的な話題まで、著者が実体験したデュアルライフのリアルを綴ります。 別荘暮らしが優雅な富裕層の特権だったのはもう過去の話。 社会環境や生活スタイルが大きく見直されている今、必読のライフエッセイです。 前回は、改めて現在のワークスタイルに到達した過程を振り返りました。 今回は、かつて佐藤誠二朗さんと同じ出版社の編集部で働いていた後輩で、鹿児島県・霧島へ完全移住した藤原綾さんとの対話をお届け。 デュアルライフと完全移住、それぞれのポジティブ面、ネガティブ面を語りあいます!

ロックタウン=西新宿で霧島に完全移住した後輩と待ち合わせ

7月半ばの某日。
雨降りの火曜日夜に、僕は東京のド真ん中、西新宿の焼鳥屋である人を待っていました。

思えばこの街に来るのも久しぶりです。
西新宿の一角はかつて音楽好きの聖地として知られ、“ロックタウン”とか“ブートレグ街”と呼ばれていました。
現在は新宿・歌舞伎町に移転している老舗ライブハウス・LOFTがあったこの街には、そこを核としつつ、輸入盤や中古盤、自主制作盤、そして海賊版のレコードやビデオを売るお店が無数に集まっていました。

僕も若き日にはしばしばこの西新宿界隈を訪れ、時間を忘れウロウロウロウロしたものです。
もちろん、今も西新宿には複数のレコードショップが健在ですが、その数はかつてと比べ激減しています。音楽好きが珍しい音源を漁る手段が、インターネットへと移行したからでしょう。
待ち合わせの前に久しぶりに立ち寄ったレコードショップの店内も、ガランとしていました。
それでも継続している実店舗は、売上の大半をネット販売に頼り、店は倉庫としての役割が大きくなっているのではないかと推測できます。

レコードを探すなら西新宿、本を探すなら神田・神保町。
思い立ったらすぐにそうした巨大カルチャータウンへアクセスすることができる東京から、僕は死ぬまで離れることはできないと、以前は頑なに思い込んでいたものです。
しかしそうしたレアもののレコードや本との目くるめく出合いの場が、実店舗からネット上へと移り変わった頃、僕は東京に暮らし続ける理由の半分以上を失ったような気がします。

だから、デュアルライフをはじめられたっていう面もあるんだよなあ……。
ロック系の店よりも飲食店が多くなった西新宿の焼鳥屋のカウンターで、しみじみとそんなことを考えながらふと腕時計に目をやると、待ち合わせ時間をもう20分も過ぎているではありませんか!
まあ、事前に「遅れる」とのLINE連絡はもらっていたのですが。

そして店の戸をガラガラと開き、僕を見つけて「すみません、ホントすみません」と言いながら近づいてきたその人は、藤原綾さん。
よみタイで大反響を呼んだ人気コラム『女フリーランス・バツイチ・子なし 42歳からのシングル移住』を連載していた筆者です。

何を隠そう僕と藤原さんは、かつて同じ出版社の編集部で働いていた同僚。
歳は僕が10歳ほど上ですが、数年の差でその出版社を飛び出してともにフリーランスの編集者兼ライターとなり、その後もいろいろと一緒に仕事をしてきた同士なのです。

そして2017年に東京と山梨で二拠点生活=デュアルライフを始めた僕に対し、藤原さんは昨年、東京の家を引き払い、鹿児島県・霧島に完全移住を果たした豪の者。
今回は仕事のために10日ほどの日程で東京に戻っている藤原さんと、彼女の移住以来初めて食事の約束をし、積もる話をしようと考えていたのです。
今回は、そんな先輩・後輩、デュアルライフVS完全移住の二人の対話の一部を抜粋してお届けしたいと思います。

デュアルライフ派の先輩・佐藤(左)と、完全移住派の後輩・藤原(右)
デュアルライフ派の先輩・佐藤(左)と、完全移住派の後輩・藤原(右)
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新刊紹介

佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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