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佐藤誠二朗「CITY BOYおじさん 湖畔でデュアルライフはじめました。」

都会では犬のオシッコ禁止に? 愛犬家よ、デュアルライフがおすすめです

様変わりした都会での“犬マナー”。でもそれって、虐待なのでは?

クウは、僕にとって約15年ぶりに飼う犬。
その間に、特に都市部における犬の飼い方は様変わりしています。
いま、東京の家の周りでクウの散歩をさせる場合、ウンチを持ち帰るためのビニール袋と、オシッコにかけるための水が必携です。
間違っても、チコ時代のようなことはできません。
もしスコップでウンチをその辺に埋めようものなら、ご近所から白い目の集中砲火を浴びることになるでしょう。
散歩中に出くわすほかの犬や人とのトラブルを避けるため、リードは伸縮式ではなく、コントロールしやすい短いものを使い、礼儀正しく歩かせなければなりません。

東京ではここのところ、犬マナーについて一段とうるさくなった気がします。
散歩中の糞尿処理は当然のことと思いますが、それ以前に、そもそも犬に外で排泄させるのは間違っているという論調さえ見受けられるようになってきました。
ペット用品店では、従来の要介護犬用だけではなく、若い犬用のオムツ(「マナーパンツ」や「マナーベルト」)が販売されるようになっていて、驚くべきことに実際に使用している人もたびたび見かけるようになりました。

東京23区の多くの自治体ホームページでは、「排泄を家で済ませてから散歩しましょう」という呼びかけがされています。
あくまで一介の犬好き小市民のささやかな意見と思っていただいて構わないのですが、僕はこうした過剰なマナー意識こそ、忌まわしき動物虐待なのではないかと思っています。

犬の散歩は運動だけではなく、コミュニケーションを目的としています。
犬(特にオス)にとってのコミュニケーションは嗅覚主体で、マーキング(=オシッコ)はそのための行為なのですから。
ただしこうした議論もすでに各所でされているようで、マナー原理主義者は「マーキングは本来不要なもので、外でしないようにトレーニングできる」と主張します。
でも、それってちゃんと犬に聞いた? と思ってしまいます。
もちろん、人間と共生する動物ですから犬にはきちんとしたしつけ、そして飼い主には必要十分のマナー意識が必要だとは思います。
でも犬の生き物としての喜びと尊厳を傷つけるような過剰なマナーは、いかがなものかと思ってしまうのです。

前述のような自治体の呼びかけは、平成22年に環境省が公開した『住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン』という文書が論拠になっているようです。
その中には確かに「日ごろから、自宅で排泄を済ませてから散歩に行くような習慣をつけましょう」と書かれています。
日本という国はお上の命令に素直に従う人が多いので、こうした考えはやがてスタンダードになっていくのかもしれません。

そうなったらいよいよ、犬が本当に好きな人ほど、東京のような人口・住宅密集地では飼えなくなるでしょう。
山中湖村でも周りの人を不快にさせないように、ウンチの持ち帰りやオシッコへの水かけといった、当世の基本マナーは守るべきだと思いますが、それ以上のことをうるさく言われることはないし、言われる筋合いもないと思っています。
そもそも、犬猫よりシカの方がたくさんいて、彼らのウンチはそこらへんに当たり前のように転がっているのですから。

ペット先進国である欧米は、どういう状況になっているのでしょうか?
少なくても、“外ではいっさい排泄させるな”とか、“我慢できない犬にはオムツを履かせろ”なんて方向に傾きつつある国は、日本だけではなかろうかと思います。
そんな日本風ペットマナーが海外の人に知られたら、また物笑いのネタにされるんじゃないかな。

やっぱりもう、都会だけでは犬を飼えないのかもしれません。
愛犬家の皆さん、デュアルライフがおすすめです。

この犬のためにも、デュアルライフをはじめて良かった
この犬のためにも、デュアルライフをはじめて良かった

連載初回「東京で生まれ東京に骨を埋めると思っていた僕が、デュアルライフを選んだ理由」はこちらから
本連載は隔週更新です。次回は3/30(水)公開予定。どうぞお楽しみに!

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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