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【閲覧注意】10センチ超の巨大なクモも出現。山の家では避けられない虫の話

家の中に出る四天王。クモ、カマドウマ、ヤスデ、カメムシ

クモとカマドウマに加え、家の中ではヤスデやカメムシもよく見かけ、僕は彼らのことを四天王と呼んでいます。

弱肉強食な家虫界いえむしかいの中で、恐らく生態系ピラミッドの頂点に立っているのは巨大なアシダカグモ。
日本の人家に生息するクモの中では最大種で、網を張らずに暮らす「徘徊性はいかいせい」という性質を持っています(ちなみに網を張って獲物がかかるのを待つクモは、「造網性ぞうもうせい」というそうです)。
アシダカグモは19世紀後半に日本へ移入してきた外来種で、本来は熱帯〜亜熱帯が生息地。
その出自は、彼らを一度でも見たことがある人なら納得するでしょう。
家の中をうろつくアシダカグモの姿は、“やや可愛げのあるタランチュラ”。
脚を広げると10センチ以上にもなる特大個体が走ると、パタパタパタパタと足音が聞こえてきます。

アシダカグモの写真は撮ってなかったので、モールで再現。実物もこんな感じ(注:本当にヤバい写真は次からです。油断されぬように)
アシダカグモの写真は撮ってなかったので、モールで再現。実物もこんな感じ(注:本当にヤバい写真は次からです。油断されぬように)

クモですからもちろん肉食で、家の中で捕食活動をしています。一般的にアシダカグモの主食はゴキブリとされていて、実は衛生害虫を食べてくれるありがたい存在なのです。
でも山中湖は北海道と同じような気候なので、ゴキブリは出ません。
彼らがハンティングをした残骸を見るに、我が家で獲物になっているのはもっぱらカマドウマのようです。

別名“便所コオロギ”とも呼ばれるカマドウマは、成虫でもはねを持たず、極端に長い後脚で凄まじいビッグジャンプをするバッタの仲間です。
湿気のある場所を好む彼らは、我が家の半地下にある倉庫の中で群れをなしていて、ここを拠点にしつつ、しばしば家の中にも侵入してきます。

我が家の半地下倉庫の壁と天井。ここに平気で出入りするのは、家族の中で僕一人だけ
我が家の半地下倉庫の壁と天井。ここに平気で出入りするのは、家族の中で僕一人だけ

ジブリの名作アニメ『借りぐらしのアリエッティ』では、主人公のアリエッティがカマドウマとともに走るシーンや、スピラーが食料として携帯しているカマドウマの脚を見せるシーンが印象的に描かれています。
田舎の家では実にポピュラーな存在のカマドウマは、見ようによってはゴシック調の素晴らしい造形でかっこいいのですが、嫌いな人にとってはゴキブリに負けず劣らずのヤバさのようです。

真冬以外の通年、家の中で見かけるアシダカグモとカマドウマの捕獲には、捕虫網を使用します。
アシダカグモは無闇に素手で捕まえると、巨大なアゴで噛み付くことがある(もちろん無毒)のだそうです。
一方のカマドウマに害はありませんが、とにかく逃げ足が速いので網を使わないと捕まえることができません。

この話、本当に求められているという自信はないのですが、せっかくはじめてしまったので続けます。

ヤスデは初夏から大量発生します。
たくさんの脚を持つ虫としてはムカデとヤスデ、ゲジゲジがいて、混同している人も多いですが、大型で毒を持つものが多いムカデや、長い脚を持つゲジゲジ(ゲジゲジは通称で標準和名は「ゲジ」)と違い、家の中にいるヤスデは可愛いものです。
よく見かけるのはヤケヤスデという種類で、体長は2センチほどしかありません。
指でつっつくとクルクルと体を丸める、なかなかファニーなヤツなのです。

こんな写真ばかりすみません。ヤケヤスデです
こんな写真ばかりすみません。ヤケヤスデです

以前は素手で捕まえていましたが、つかんだ指先の匂いを嗅ぐとこれがまあ臭いのなんの。
調べてみると、非常時に体の側線から臭い分泌液を出す性質があるらしいのです。
液体には軽い毒性もあるようですが、目に入ったりしなければほとんど問題はありません。でもこの独特の臭いだけは、一度嗅ぐと忘れられないほど強烈なものです。
だから今は、必ず割り箸でつかむことにしています。

臭いといえばカメムシです。よく見かけるのはハサミツノカメムシとクサギカメムシ。
のんびりしているし、外見もなかなか見どころのある彼らですが、ご存知のように刺激すると強烈な臭気を発するので、見かけたらそっとティッシュの上に乗せ、お引き取りいただくようにしています。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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