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キックボード流行の端緒を開いた(かもしれない)一台を持っている件について
2月26日に、元「smart」編集長・佐藤誠二朗さんの新刊『オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック ストリートおじさんの流儀100』が発売されました。 「よみタイ」で大好評だった連載コラム、「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」(2019年4月~2020年9月)の中から、著者自らが厳選した100篇を、ファッション、スピリッツ、ライフ&ホビー、カルチャーの4カテゴリーにカテゴライズ。ウンチクとこだわり満載のコラムを豊富な写真とともに収録しています。 この刊行を記念し、連載や書籍の中から著者の佐藤さんが「特に思い入れが深い!」と選び抜いた3篇を、その理由とともに特別掲載。 全3回のスペシャル企画です! 第1回はこちら、第2回はこちら。 最終回の今回は、惜しくも書籍未収録となった、2019年6月17日配信の「キックボード流行の端緒を開いた(かもしれない)一台を持っている件について」をお届けします!

キックボード流行の端緒を開いた(かもしれない)一台を持っている件について

@佐藤誠二朗
このコラムを書いたあと、件のキックボードは盗まれてしまった。人の大事な思い出の品に何しやがる! 天罰くだれ!

1990年代後半、日本の若者の間でにわかに流行したキックボード(正確には“キックボード”とはあるメーカーが商標登録している三輪式のもので、一般名称は“キックスケーター”だけど、ややこしいので本コラムでは通りのいい“キックボード”とします)。
僕は、この流行のはじまりをよく知っている。

当時、男性ファッション誌「smart」の編集者をやっていた僕は、担当していた新製品コーナーで、日本上陸直後だったRazor社のキックボードを紹介している。
子供の頃に流行したローラースルーゴーゴーに似ているけど、もっとソリッドでかっこいいキックボード。初めて見た瞬間から流行りそうだと思ったし、自分でも欲しくなったので、撮影したものを買い取っていち早く乗りはじめた。

その掲載号が発売されてまもなく、原宿でキックボードに乗る人を見かけるようになり、あれよという間にブームとなった。
ほぼ同時期に他のメディアも扱っていたとは思うけど、なんとなく自分が紹介したから流行ったという手応えを感じていた。
当時のsmartは、原宿に集う若者に対して強い影響力を持つ雑誌だったのだ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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