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インディーズの聖地で前人未到のライブ数! 史上“最遅”武道館公演実現! 実はものすごいバンド、ニューロティカ

いくつになってもはっちゃけて、バカをやり続けたい

 ライブといえば、ニューロティカはもう一つ大きな記録を更新中である。
 それは、彼らがデビュー当初から一貫してホームグラウンドとしているライブハウス、新宿ロフトでの公演回数記録だ。
 2023年7月末の時点で、通算320回。もちろん、新宿ロフトではダントツの記録であり、現在も月イチで恒例ライブを行なって、その回数を順調に上乗せしている。
 他に類例がなく比較のしようがないが、1976年創業の新宿ロフトは国内屈指の老舗ライブハウスである。同一バンドの同一ライブハウスでの公演回数としては、もしかしたらギネス級の記録なのかもしれない。

――武道館のステージも、ロフトみたいな感じにしたんですよね?

「そうです。『どうせお前は(緊張して)上がったちゃうだろう』ということで、武道館のステージ上にロフトの時計を持ってきて、床もロフトと同じ市松模様にしてもらいました。スタッフも全部ロフトの方を連れてきて、武道館を徹底的に“新宿ロフト風”に仕立てたんです。
 僕が新宿ロフトでライブするときは、いつも用意されているウーロン茶を1杯飲んでからステージに出て行くという儀式があるんですけど、武道館でもロフトのスタッフが『あっちゃん持ってきましたよ! ほら、ロフトのウーロン茶』って(笑)。いや、それはどこのウーロン茶でもいいんじゃないかとは思いましたけど(笑)」

――武道館公演の翌日も、ロフトでライブをやったんですよね?

「そうです。大好きなARBがかつてそうしたのを真似したんです。前から僕がそうするんだと言っていたみたいなんですけど、実は自分では忘れていて(笑)。でもスタッフが覚えていて、『あっちゃん! ARBと同じく武道館翌日のロフト、入れといたから』って。僕としては正直、『いや、翌日くらい休ませてよ』と思いましたけど(笑)、おかげさまですごく盛り上がりましたね」

武道館ライブのステージを、まさに新宿ロフトの市松模様に。(撮影/TATAMI)
武道館ライブのステージを、まさに新宿ロフトの市松模様に。(撮影/TATAMI)
大好きなARBと同じく、武道館翌日は新宿ロフトでライブ!(撮影/TATAMI)
大好きなARBと同じく、武道館翌日は新宿ロフトでライブ!(撮影/TATAMI)

――回数はロフト側で記録しているんですか?

「いや。自分で書き続けているバンドノートがあるんです。バンドを始めた頃から今までずっと、ノートにその日のライブの衣装や曲順をつけ続けているんです。それで、新宿ロフトでの通算公演回数がわかったので、自己申告して(笑)。
 ロフトには『そろそろ俺の銅像を建てろ』って言ってるんですけどね(笑)。バンドブームの頃は打ち上げで、毎回40万くらい使っていたわけだし。事務所払いですけど(笑)」

――それにしてもあっちゃんは、58歳で糖尿病も患っているというのに、ライブでの動きは20代の頃と変わらないように見えます。すごくないですか?

「いや、そうでもないですけどね、実際は(笑)。でも、お客さんが興奮してると、こっちも興奮しちゃうタイプなんで。動かなければ自分じゃないしニューロティカじゃないので、動けるうちは動こうとは思ってます。
 いつまでもはっちゃけて、バカをやり続けたいんですよ」

 ロックバカ・あっちゃんの話はどこまでも楽しく、また“インディーズ博物館”のような藤屋の店内は見飽きることがなく、許される限りいつまでもここにい続けたいと思わされるような取材だった。
 昨年に引き続き、今年も10月29日(日)に日比谷野外音楽堂でのライブが決まっていて、あっちゃん率いるニューロティカメンバーの士気は、ますます上がっているようだ。
 合言葉は「野音で会おうぜ!」。

 愛すべき男あっちゃんの、パンク街道疾走はまだまだ続く。
 でも糖尿病が心配だ。くれぐれも健康には気をつけてほしいと願うばかりである。

バンド結成時からつけている貴重すぎるバンドノート。(撮影/木村琢也)
バンド結成時からつけている貴重すぎるバンドノート。(撮影/木村琢也)
手書きの曲順はまさにニューロティカの歴史書だ。(撮影/木村琢也)
手書きの曲順はまさにニューロティカの歴史書だ。(撮影/木村琢也)

この項、了。次回は9月中旬以降に公開予定。次のゲストは誰か? お楽しみに!

ドキュメンタリー映画「あっちゃん」

2015年に劇場公開された、ニューロティカ結成30周年記念ドキュメンタリー映画『あっちゃん』(監督:ナリオ)の英語字幕バージョン!
どこにでもあるお菓子屋さんに生まれた男の、どこにもない生き方。イノウエアツシの50年、ニューロティカの30年。すべての答えはこの映画で明かされる。
蒼井そら、綾小路翔(氣志團)、宮藤官九郎、HIKAGE(THE STAR CLUB)、PON(LAUGHIN’NOSE)ら多くの出演陣の証言にも注目!

【プロフィール】
アツシ/1964年10月20日生まれ、東京都八王子市出身。
1984年1月に結成したパンクロックバンド「ニューロティカ」のヴォーカル。
85年、仲間とともに「ネオファミリーレコード」を設立。1stソノシート「Go or Stop!」をリリースし1000枚を完売。89年5月、「キャプテンレコード」より初のフルアルバム「ハーレム野郎」をリリース。インディーズながら渋谷公会堂ライブなどを成功させる。
1990年6月シングル「ア・イ・キ・タ」でメジャーデビュー。以後、何度かのメンバーチェンジをしながらバンド活動を続け、2022年1月にバンド初の日本武道館ライブを成功させる。2023年10月29日(日)には日比谷野外音楽堂でのライブも決定!
その他最新情報は下記でチェックを!
公式ツイッター:@NEW_ROTEKA
公式HP:ニューロティカ公式HP

【撮影協力】
藤屋菓子店(東京都八王子市本町3-9)

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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