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62歳になったラフィンノーズのチャーミーが、今もビカビカのビンビンでいられる理由

酒もコンビニフードもパスタも白米も断ってライブに挑む

 1980年代中頃、日本の音楽シーンで突如沸き起こったインディーズブーム。
 その先頭を力強く走っていたのは、間違いなくラフィンノーズだった。

 1985年4月28日には、新宿のスタジオアルタ前で未発表ソノシート(「WHEN THE L’N GO MARCHIN’INN(聖者が街にやってくる)」収録)を無料配布することが事前告知された。
 すると、ギンギンなファッションのパンクスから、ごく普通の格好の少女まで1200人余りのファンが詰めかけ、チャーミーが登場すると一帯はパニック寸前になった。
 危険を察知したチャーミーはガードレールにのぼり、歓声を上げるファンに対して「おまえらまずは冷静になれ。危ないから押すな! ゆっくり下がれ!」と呼びかけた。

 この「ソノシートばらまき事件」は全国ニュースでも取り上げられ、ラフィンノーズという新進気鋭バンドの人気の凄まじさを世に知らしめる結果となった。
 メジャーデビュー1か月前となった1985年10月26日の日比谷野外音楽堂ライブでは、当時のインディーズバンドとしては異例の、4000人を超えるファンを動員。
 そうした数々の逸話を引っさげて、ラフィンノーズは同年11月21日にVAPよりメジャーデビューした。

 その頃のチャーミーは、20代前半の若者だった。
 そして、それから40年弱が経過した今も、チャーミーの印象は当時とさほど変わらない。
 ライブでは2時間にわたって全身全霊で歌い、ステージ狭しと動き回り、ときには客席にダイブする。そのスタミナもさることながら、見た目もスマートだ。よほど鍛えたり節制したりしているのだろうか。

「意識するようになってから3〜4か月なんでまだまだだけど、最近、以前よりすごく気をつけているのが“食”です。具体的にですか? コンビニフードは食わない。1日3食ではなく1.5食ぐらいにして、がっつり食うのは1食だけ。あとはグルテンフリーや玄米食ですね。
 肉は好きだからビーガンではないけど、放牧されて育ったグラスフェッドビーフを選ぶようにしています。ホルモン剤でバッチバチの肉なんて、もう食べられない。コンビニのおにぎりやお弁当も、裏面を見ると添加物だらけ、毒物まみれですよ。そういうことを意識しはじめたら、明らかに体の調子がいい。体重もすっと落ちて、俺、今は20代よりスリムです。あれ、なんの話してんだろう。今日はこういう話でいいの(笑)?」

インタビュー時は柔和な笑顔も。ライブとのギャップも魅力。(撮影/木村琢也)
インタビュー時は柔和な笑顔も。ライブとのギャップも魅力。(撮影/木村琢也)

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 今のチャーミーを知るうえでとても興味深い話なので、ぜひ続けていただこう。
 かつては浴びるように飲んでいた酒も、だいぶ前にキッパリやめたそうだ。

「酒は完全に行くところまで行って、ドクターストップがかかった。東日本大震災の前だったかな。『あんた、これ以上飲んだらもう死にます』って医者からはっきり言われたんです。やめてからもしばらくは、離脱症の振戦せん妄というのが出て、大変でしたよ。本当なら入院しないといけない状態だったんですけど、自力でやめられました」

 チャーミーは意志が強い。
 盟友であるラフィンノーズのベーシスト、ポンは今も酒好きだ。隣でガンガン飲まれても気にならないのだろうか。

「気にならないし、ポンにはむしろ飲んでもらわないと(笑)。人それぞれの人生、生きざまだから。でも、食について俺が何か話すと、一番食いついてくるのはポンなんですよ。俺はちょっと前まで、アスリートのように、ライブの2時間前に必ずパスタを食べてましたけど、今はそれもやめてファスティングです。ライブ前日から20時間ぐらいはプチ断食で、腹にほとんど何も入れません。そういうことをポンに話すと、『マジか!?  俺もその域に行きたいわ!』って食いついてくる。ポンは、マインドが昔から本当にオープンなんです」

 40年以上の長い付き合いになるチャーミーとポンの絆は、傍からは推しはかれないほど強いものに違いない。チャーミーもポンのことを話すときは、何か特別な感情が動いているようにも見受けられる。

「ポンと向いている方向が一緒であることは間違いないかな。お互いに同じことがしたくて、同じような方向に進んでいる。俺ら2人は、絶対一緒にいなければいけないっていう意識が、今さらながらちょっと芽生えてますね。だから、『おまえ、長生きしてくれよ』って。向こうは絶対、俺のほうが先に死ぬと思ってるだろうけどね(笑)。
 この前もポンに、『ちょっとジャンクフード食べ過ぎだぞ』って言ったら、『ほんまやな。俺もジャンクフードやめようかな』って言ってましたけどね」

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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