2019.10.20
南無阿弥陀仏=永ちゃんコール? 念仏とはライブの声援である
念仏いろいろ、コールもいろいろ
まず、仏教では、誰もがブッダを目指している。『ONE PIECE』でロロノア・ゾロが世界一の剣豪を目指しているように、みんなブッダになるために修行しているのだ。
修行にはいろんな種類があり、例えば「読誦行」といって、ブッダが説いたお経を声に出して読み上げるものがあったり、「礼拝行」といって立ったり座ったりしながら、ひたすら地面に頭を擦り付けるものがあったりもする。おそらくそういうシーンをお寺で見たことがある人もいるはずだ。
その修行の方法の一つに「念仏」がある。念仏とは、文字通り「仏を念じる」こと。「念じる」とは何かと言うと、仏さまをイメージしたり、感じたりすることだ。
念じ方にも種類があり、例えば、一つに「観想念仏」がある。
観想念仏とは、仏さまの姿や「浄土」という場所を、具体的に心の中で描く修行法だ。お経には様相が具体的に説明されていたりもするので、それを参考に、髪の毛がくるくるで、目が半眼で……という風に、ビジュアルを心に思い描くのだ。
念仏の中でも、一番日本で有名なのが「称名念仏(口称念仏)」。すなわち、先ほどから言っている「南無阿弥陀仏」だ。
称名念仏とは何かと言うと、仏の名前を声に出して称える修行なのである。そう、ライブで僕らが叫ぶ「○○〜〜〜〜!!!」と同じ。あれ、実は仏教では修行だったのだ。
ブッダ、マジ卍
その称え方の一つとして、「南無阿弥陀仏」がある。「南無」とは「帰依すること」などと訳される。すなわち、現代風に言えば「マジ捧げます」ということだ。つまり、「南無阿弥陀仏」とは「阿弥陀仏にマジ捧げるわ」といった具合である。いわゆる、「推し」だ。
ちなみに、念仏で一番有名なのが「南無阿弥陀仏」であるが、それ以外にも「南無釈迦牟尼仏」だとか、いろんな仏の名前を入れることができる。これもメンバーに合わせて、「みいみ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」と叫ぶのと一緒。
日本では念仏といえば称名念仏、そして、南無阿弥陀仏という認識が一般的であるが、なぜ多くの人が阿弥陀仏にマジを捧げているかといえば、それはお経に書いてある、とある菩薩(修行時代の仏)のイケ台詞が発端となっている。
「俺が修行して仏になったとして、もしもすべての人々が心から俺の国に生まれたいと願って十回でも俺の名前を呼んでるのに生まれることができないようなら、俺は絶対に仏になんかならねぇ!」(※『仏説無量寿経』十八願の一部を超訳)
ルフィかよ。やばい。高まるじゃないか。
つまり、仏になったあかつきには「俺の名前を呼べば必ず助けてやる」と言っているのだ。実際にこの発言の後、この菩薩はブッダ(仏)になった。それがのちの阿弥陀仏である。
この台詞に“高まり”を感じて、僕らは「南無阿弥陀仏」つまり「阿弥陀仏!!!マジ捧げる!!!」と言っているわけである。ちなみに、阿弥陀仏が「俺の国」といっているのが「極楽浄土」と言われる場所。さしずめ「ライブハウス武道館へようこそ!」という具合である。