そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。
2019.8.5
ファッションアイテムとしては完全終了? いま一度バンダナについて考えてみよう
バンダナって、最近あまり流行っていないけど、どうなんだろう?
古くからロックミュージシャンの間で愛用者が多く、ストリートスタイルとゆかりの深いアイテム。
今こそ再び、キリッとバンダナをしてみてはどうだろうか?
いまいち自信がないので、探り探りなのだが……。
ひとまず、バンダナとミュージシャンの関係を振り返ってみよう。公式な記録はないので間違いがあるかもしれないが、そこらへんはご容赦を。
現役のバンダナミュージシャンで、多くの人がまず思い浮かべるのは、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズかもしれない。キースは髪の毛の生え際あたりに、バンダナをやや幅広にして無造作に巻く。
ただし長いキャリアの中で、彼がバンダナをトレードマークとするようになったのは1990年代に入ってからのようで、それ以前は黒いヘアバンドか、何もしていないことの方が多かった。
ディープ・パープルのベーシスト、ロジャー・グローヴァーもキャリア後半に入ってからバンダナを巻くようになった。
頭部全体を覆って後頭部で結び、あまった布を後ろに垂らすのがロジャー流。ロジャーの場合、以前はハットをよくかぶっていた。かっこいい姿をキープするために、頭部を隠さなければならない事情があるようだ。
そう考えると史上初の純粋なバンダナミュージシャンは、ジミ・ヘンドリックスだったのかもしれない。1960年代後半から70年代初頭にかけて活躍したジミ・ヘンドリックスは、髪の生え際あたりに巻くスタイルだった。
70年代から80年代にかけてのメジャーなバンダナミュージシャンは、ブルース・スプリングスティーンとウィリー・ネルソン。
彼らは、ジミ・ヘンドリックスよりもやや下、額の中央あたりにハチマキ状に巻いた。この巻き方は、おそらく日本の浜田省吾などにも影響を与えている。
バンダナ全盛期の1980〜90年代。さて、現代のグリズリー世代の使い方は?
1980年代に入ると、バンダナミュージシャンが続出する。
ハードコアパンク系では、スケートロックの代表格であるスーサイダル・テンデンシーズのマイク・マー。ニューヨークハードコア、アグノスティック・フロントのロジャー・ミレット。
ヘヴィメタル系ではポイズンのブレット・マイケルズ。LAメタル勢には特に大人気で、ガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズ、モトリー・クルーのニッキー・シックスなど印象に残るバンダナ姿が多い。
幅広く折ったバンダナで額全体を覆い、目のすぐ上まで隠す彼らのスタイルは、いかにも80年代っぽい雰囲気で、特にアクセルのバンダナは、“ガンズ巻き”と呼ばれて親しまれた。
1990年代に入ると、ヒップホップ勢からもバンダナミュージシャンが登場する。代表的なのはゲットー出身の筋金入りラッパーとして人気を博しながら、ヒップホップ界の東西抗争で1996年に命を落とした2パック。
彼の巻き方はこれまでにない独特なもので、スキンヘッドの額の上に結び目をつくっていた。
また90年代には、ハードコアパンクから発展したメロコアやヘヴィロック、メタルコアなどのバンドの間ではバンダナが多く使われた。メタルコアバンド、ヘイト・ブリードのボーカリスト、ジェイミー・ジャスタなどが有名。巻き方はガンズの系譜である。
ヒップホップやヘヴィロックからの影響で1990年代後半から2000年代前半には、日本のストリートでもにわかにバンダナが増殖した。
三角形に折って口元を隠す“ギャング巻き”は、アメリカのストリートギャングを模倣した日本のチーマーによる、カラーギャングの風俗だった。
日本のミュージシャンでは、前述の浜田省吾以降、世良公則、長渕剛、アンジーの水戸華之介、泉谷しげる、後期の遠藤ミチロウなど、バンダナをトレードマークとする人が大勢いたが、一番印象が強いのは、exブルーハーツ・ハイロウズ、現クロマニヨンズのマーシーこと真島昌利ではないだろうか。
マーシーは幅広く折ったバンダナで額全体を覆い、一部の前髪を巻き込むようにしながら目深に巻く。最近のマーシーが使っている白地に赤い模様の入ったバンダナ、またブルーハーツ時代によく使っていた黄色地に赤のバンダナは、エスニックショップの仲屋むげん堂で買える。これはファンの間ではよく知られた事実のようだ。
ざっくりとではあるが、バンダナとミュージシャン、ストリートカルチャーの歴史を辿ってきた。
それじゃあ2019年のいま、我々グリズリー世代はバンダナを日常のファッションとして、どう使いこなせばいいのだろうか?
皆目、見当がつかない。
誰か教えてください。
