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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ファッションアイテムとしては完全終了? いま一度バンダナについて考えてみよう

バンダナって、最近あまり流行っていないけど、どうなんだろう?
古くからロックミュージシャンの間で愛用者が多く、ストリートスタイルとゆかりの深いアイテム。
今こそ再び、キリッとバンダナをしてみてはどうだろうか? 
いまいち自信がないので、探り探りなのだが……。

ひとまず、バンダナとミュージシャンの関係を振り返ってみよう。公式な記録はないので間違いがあるかもしれないが、そこらへんはご容赦を。

現役のバンダナミュージシャンで、多くの人がまず思い浮かべるのは、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズかもしれない。キースは髪の毛の生え際あたりに、バンダナをやや幅広にして無造作に巻く。
ただし長いキャリアの中で、彼がバンダナをトレードマークとするようになったのは1990年代に入ってからのようで、それ以前は黒いヘアバンドか、何もしていないことの方が多かった。

ディープ・パープルのベーシスト、ロジャー・グローヴァーもキャリア後半に入ってからバンダナを巻くようになった。
頭部全体を覆って後頭部で結び、あまった布を後ろに垂らすのがロジャー流。ロジャーの場合、以前はハットをよくかぶっていた。かっこいい姿をキープするために、頭部を隠さなければならない事情があるようだ。

そう考えると史上初の純粋なバンダナミュージシャンは、ジミ・ヘンドリックスだったのかもしれない。1960年代後半から70年代初頭にかけて活躍したジミ・ヘンドリックスは、髪の生え際あたりに巻くスタイルだった。

70年代から80年代にかけてのメジャーなバンダナミュージシャンは、ブルース・スプリングスティーンとウィリー・ネルソン。
彼らは、ジミ・ヘンドリックスよりもやや下、額の中央あたりにハチマキ状に巻いた。この巻き方は、おそらく日本の浜田省吾などにも影響を与えている。

バンダナ全盛期の1980〜90年代。さて、現代のグリズリー世代の使い方は?

1980年代に入ると、バンダナミュージシャンが続出する。

ハードコアパンク系では、スケートロックの代表格であるスーサイダル・テンデンシーズのマイク・マー。ニューヨークハードコア、アグノスティック・フロントのロジャー・ミレット。
ヘヴィメタル系ではポイズンのブレット・マイケルズ。LAメタル勢には特に大人気で、ガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズ、モトリー・クルーのニッキー・シックスなど印象に残るバンダナ姿が多い。

幅広く折ったバンダナで額全体を覆い、目のすぐ上まで隠す彼らのスタイルは、いかにも80年代っぽい雰囲気で、特にアクセルのバンダナは、“ガンズ巻き”と呼ばれて親しまれた。

1990年代に入ると、ヒップホップ勢からもバンダナミュージシャンが登場する。代表的なのはゲットー出身の筋金入りラッパーとして人気を博しながら、ヒップホップ界の東西抗争で1996年に命を落とした2パック。
彼の巻き方はこれまでにない独特なもので、スキンヘッドの額の上に結び目をつくっていた。

また90年代には、ハードコアパンクから発展したメロコアやヘヴィロック、メタルコアなどのバンドの間ではバンダナが多く使われた。メタルコアバンド、ヘイト・ブリードのボーカリスト、ジェイミー・ジャスタなどが有名。巻き方はガンズの系譜である。

ヒップホップやヘヴィロックからの影響で1990年代後半から2000年代前半には、日本のストリートでもにわかにバンダナが増殖した。
三角形に折って口元を隠す“ギャング巻き”は、アメリカのストリートギャングを模倣した日本のチーマーによる、カラーギャングの風俗だった。

日本のミュージシャンでは、前述の浜田省吾以降、世良公則、長渕剛、アンジーの水戸華之介、泉谷しげる、後期の遠藤ミチロウなど、バンダナをトレードマークとする人が大勢いたが、一番印象が強いのは、exブルーハーツ・ハイロウズ、現クロマニヨンズのマーシーこと真島昌利ではないだろうか。

マーシーは幅広く折ったバンダナで額全体を覆い、一部の前髪を巻き込むようにしながら目深に巻く。最近のマーシーが使っている白地に赤い模様の入ったバンダナ、またブルーハーツ時代によく使っていた黄色地に赤のバンダナは、エスニックショップの仲屋むげん堂で買える。これはファンの間ではよく知られた事実のようだ。

ざっくりとではあるが、バンダナとミュージシャン、ストリートカルチャーの歴史を辿ってきた。
それじゃあ2019年のいま、我々グリズリー世代はバンダナを日常のファッションとして、どう使いこなせばいいのだろうか?

皆目、見当がつかない。
誰か教えてください。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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