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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

実家デッドストック〜実家に死蔵されていた懐かしアイテムを愛でる

この歳になると誰しも、実家の引き出しには青春の残滓が詰まっているものだと思う。僕は先日、たくさんの思い出深き品々を発見、サルベージしてきた。

一番懐かしかったのは、高校時代に西新宿のロックショップで買った鋲リストバンドだ。
その頃の僕は、少ない小遣いをやりくりしてパンクファッションをつくることに心血を注いでいた。
貧乏高校生パンクスにとって、お役立ちアイテムは安全ピンと安全靴だった。手持ちの適当な服をわざと破いて、安全ピンでツギハギに。安く調達した安全靴はカッターで爪先の革を切りとってスチールをむき出しに。
これで安上がりパンクスのいっちょあがりだ。

でもDIYだけではいまひとつ物足りなく、頑張って買ったのがこのリストバンドだった。
ああ、懐かしい。
そっとハメてみると、いまの僕の手首には少々きつすぎた。

“時代の徒花”的デザインの腕時計も、トレンドが一巡したいま意外と悪くない

その次にグッときたのは、シチズン製“インデペンデンスシリーズ”のデジタル腕時計。
買ったのは1990年代後半だった。当時、アップルのiMac G3が火付け役となり、家電のスケルトン化とレトロフューチャーなデザインが流行していた。
また、青色LEDの普及が加速したため、カラフルな光を放つアイテムも非常に多く出回っていた。

このインデペンデンスは、当時のそんな流行を詰め込んだ、時代の徒花的な腕時計。わずかな期間でそれらの流行は下火になったので、この腕時計も1〜2年でつけるのが恥ずかしくなり、引き出しにしまいこんだのだったと思う。

そしていま、再びスケルトンブームが来ている。腕時計業界ではレトロフューチャーも再流行の兆しがある。
やはり流行は繰り返すものなのだ。
実家から発掘した僕のシチズンインデペンデントも、新たな電池を入れて復活させてみた。意外と悪くない。

実家デッドストックは侮りがたし。
皆さんの実家にもきっとすごいものが眠っているはずだから、ぜひ探してみて。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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