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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

子供の頃のケガは一種のアクセサリーだった。大人のゾンビメイクもまた然り

娘の友達の小5男子が、目の横に大きな青タンをつくっていたので、どうしたのかと尋ねてみると、「友達のケンカを止めに入ったら、そいつのひじが当たっちゃって」と、はにかみながらも嬉しそうに答えた。
その表情を見ていて、忘れかけていた懐かしい感情が蘇る。

そう、小学校高学年くらいからしばらくの間、男子にとってケガはアクセサリーみたいなもんだからね。

自分で転んだり、飼い猫にひっかかれたりしたケガじゃダメだけど、スポーツで負ったケガはかっこいい。それ以上なのはケンカのケガ。人のケンカの仲裁で負ったケガなんて、最高の勲章だ。

僕はケンカができない性格だったけど、中学では剣道部という負傷しやすい部に所属していた。たまに竹刀を外されて、腕に大きなアザができた日には、わざわざシャツの袖をまくって負傷箇所を露出させていたものだ。
ちょっと気になる女子の視界に、アザのある腕をさりげなく配置してみたり。
ああ、バカだったんだなぁ……。

ハロウィンのゾンビメイクは、中2的感性の発露なのかもしれない

大人になってからのケガはただのケガで、それがかっこいいなんて感性は失ってしまった。でもよく考えてみると、最近のハロウィンで増殖するゾンビメイクなんて、もしかしたら、潜在意識下に残るそうした中2的感性を、お祭りに乗じて爆発させているのかもしれない。

痛々しく死んだ俺を見てくれ! 的な。

友達に特殊メイクの専門家がいる。
ゾンビメイクのコツを尋ねると、「とにかく肝心なのは目」と力説された。どんなに激しい傷より、不気味な目が一番印象に残るものだとか。
ということで、特殊なコンタクトレンズを使って目だけゾンビにしてみたら、我ながらたいへん恐ろしい顔になった。

いまから今年のハロウィンが楽しみなのだ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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