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まだ知られていない!安くて美味しい焼肉店がひしめく江東区・大島の名店

年間200食もの牛肉を食べるという、名実ともに肉バカ、小池克臣が日々蓄えてきた肉への愛、知識、体験……そのすべてを注ぎ込む究極の肉コラムがここに。肉好きはもちろん、そうでなくても知っておくべき肉のあれこれが満載!

都営新宿線。

普段あまり利用しない路線なのだが、沿線の森下駅には「静龍苑」があり、篠崎駅には焼肉ジャンボの総本山である「ジャンボ篠崎本店」が存在する。

ここまでは普通の焼肉好きであれば、当然知っていることだろうが、実は大島駅と西大島駅周辺が焼肉激戦区であることを知っているだろうか!?

ただ単に焼肉屋の軒数が多いといってるのではない。

昔ながらの情緒あふれる焼肉屋が多く、地元のお客さんに愛されるような手頃な値段で、しかも恐ろしく美味しいのだ。

まず、前回、悩んだ末に公開した「炭火庭」が西大島駅すぐの場所にある。

炭火庭が存在するだけでも奇跡なのだが、この大島周辺は炭火庭だけじゃない。

奇跡のような値段と味のタン塩を味わえる炭火庭
奇跡のような値段と味のタン塩を味わえる炭火庭

郷愁漂う住宅街の名店【金剛山】

住宅街をふらふらと歩くと、「金剛山」と白く書かれた真っ赤な雨除けが目に入る。

お店の前にはガラスケースがあり、懐かしい食品サンプルが並ぶ。

郷愁漂う外観からは、昭和の時代からずっと営業を続けてきていることが分かる。

店内も素敵だ。
ご主人と女将さんの2人で切り盛りしていて、お店の年季とは反比例するかのように、ロースターを含めて店内は掃除がキレイに行き届いている。
壁には仕入れた牛肉の個体識別番号が手書きで書かれ、そのこだわりが伝わってくる。

まずはセンマイ刺しをオーダーすれば、その日のホルモンの鮮度の良さが分かる。

そして、焼き物では上タン塩を絶対にオーダーしてほしい。
かなり薄切りだが、冷凍されていない上質な生のタン元が運ばれてくる。

味付けは、塩以外に胡麻や胡椒が振りかけられたクラシックスタイルで、見た目ですでに美味しさが約束されている。

冷凍されていない上質な生のタン元を使った上タン塩
冷凍されていない上質な生のタン元を使った上タン塩

金剛山はタンが特にオススメなので、上タン塩以外にも上タンもオーダーすべき。

ご主人が丁寧に仕込んだ味噌ダレが上質な生タンを包み込んでいて、サクサクの食感の次に、タンの肉汁と味噌ダレのマリアージュを堪能できるだろう。

タン元ではないが、タンの真ん中付近を使って味噌ダレで食べるタンタレもメニューにあるが、値段と味のバランスを考えるとこれも外せない。

タン以外にも、カルビやロース、ハラミなどもあるので、白米片手にお腹いっぱいかき込んでほしいが、満腹になる前に上ミノとコブクロだけは忘れないでほしい。

それぞれザクザクした独特の食感で、臭みも全くないので、ホルモンが苦手な人でも食べられてしまう。

最後はスープやクッパで〆よう。

丁寧にとった出汁が効いていて、口にした瞬間、思わず笑みがもれるほどだ。

タンの肉汁と味噌ダレのマリアージュをぜひ
タンの肉汁と味噌ダレのマリアージュをぜひ

創業昭和25年の超老舗【焼肉スタミナ苑】

金剛山から歩いて2分ほど。
この場所にも老舗の名店が存在する。

その名前は「焼肉スタミナ苑」。
日本一有名な鹿浜のスタミナ苑とは全く違う。

だが、侮るなかれ。

こちらのスタミナ苑の創業は昭和25年。
この地で70年近く営業しているという老舗中の老舗だ。

お店はおそらく改装しているのだろう。
70年という歴史を感じさせるようなオンボロさは全くなく、女性だけのグループでも違和感なく入れる雰囲気を持っている。

老舗の焼肉屋の特徴として、タンとハラミが美味しいお店が多いという事があるが、スタミナ苑もその例外ではない。

上タン塩は根元のサシの入った部分がたっぷりと盛られていて、これで1000円台前半というのが驚きだ。

少し強めの味付けも下町焼肉の醍醐味の1つ。
サクサクの食感を楽しもう。

少し強めの味付けも下町焼肉の醍醐味だ
少し強めの味付けも下町焼肉の醍醐味だ

この上タンよりも上のメニューとして特選厚切りタン塩というメニューもある。
こちらは少々値が張るが、黒タン好きには堪らないはずだ。

そして、ハラミも素晴らしい。
究極ハラミステーキは、ハラミの殿堂「虎の穴」を彷彿させる超厚切り。
焦がさないように網の上を転がしながら、しっかりとウェルダンまで焼いてみよう。
上質なハラミ特有のジュースのような肉汁が溢れ出てくる。

カルビやロースといったメニューも豊富。
大人数でいけば、色々なメニューを制覇できて、より満足度が上がるだろう。

超厚切り、究極ハラミステーキ
超厚切り、究極ハラミステーキ

ここもあのお店と同じ店名……【トラジ】

スタミナ苑から歩いて数分にあるのが「トラジ」。

トラジといっても、あのチェーン店のトラジではなく、ハラミで有名な「三宿トラジ」でもない。

実はこのトラジは、すぐ近くにあるスタミナ苑の親族の方がやっている姉妹店で、こちらは平成元年創業とのこと。

こちらも黒タンを使った特選タン塩と、黒タンではない上タン塩があって、どちらも美味しいが、値段を考えれば上タン塩で十分と感じる人も多いだろう。

コスパ抜群の上タン塩
コスパ抜群の上タン塩

特選ハラミは肉々しさもしっかりとある。

個人的にオススメなのが骨付カルビ。
骨の周りを丁寧に剥いたクラシックスタイルで、懐かしさを感じずにはいられない。

この骨付カルビは、ぜひ白米と一緒に食べよう。

トラジはアラカルト以外にもコースがあったり、姉妹店のスタミナ苑とスタイルは若干違うが、それはお店の個性。

それぞれの良さが輝いている。

大島という焼肉激戦区

前回の炭火庭に加えて、今回改めて3店を紹介したが、大島の焼肉屋はこれだけではない。

肉バカ的に気になっているお店はまだ残っている。

その宿題が完了し、いったいなぜ大島の焼肉屋がこんな美味しいのか分かった時には、再びこの場で紹介したい。

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小池克臣

こいけ・かつおみ●1976年、神奈川県横浜の魚屋の長男として生まれたが、家業を継がずに肉を焼く日々。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、さらには和牛そのものの生産過程、加工、熟成まで踏み込んだ研究を続ける肉の求道者。著書に『No Meat,No Life.を実践する男が語る和牛の至福 肉バカ。』がある。
公式ブログ「No Meat, No Life.」→ http://d.hatena.ne.jp/BMS12/

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