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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

指輪をはめたい~ストリートおじさんの指に似合うのはカレッジリングなのだ

大人の男が、結婚指輪以外のリングをつけているのを見ると、少し“ウッ”と思う。
欧米でも一般的に、男が過剰な装飾品をつけるのは忌避されていて、指輪で許されるのは結婚指輪とカレッジリング、それにシグネチャーリングくらいだ。

何個もつけるのはよろしくなく、右手にカレッジリング、左手に結婚指輪をつけるのがギリギリのライン。シグネチャーリングは、左の小指に一個だけつけるのが正解のようだ。

カレッジリングはいかにもな欧米文化であり、日本男児にはややハードルが高い。
でも映画に登場するアメリカの将校やビジネスエリート、それに海外旅行で遭遇する普通のおじさんが、当たり前のようにカレッジリングをはめているのを見ると、かっこいいな〜、真似したいな〜とも思うのだ。

そしてカレッジTシャツと同様、自分の出身校のものではないカレッジリングや、デザインだけのなんちゃってカレッジリングをつける感覚はよくわからない。つけるんだったら、出身校のものしかないと思う。

高校卒業記念のリングを引っ張り出してはめてみたのだが……

じゃあ、作ればいいじゃない!
でも、カレッジリングを一人で作って一人でつけるほど寂しいことはない。カレッジリングは欧米ではクラスリングと呼ばれ、大人になってからも様々な記念として作られるが、もっとも重要なのは、一緒に何かを成し遂げた仲間たちとともに作ることだ。共有した良き日々を記念するためのものなのだから。
卒業して何十年も経つ学校のリングを、今さら一人ぼっちで作っても、虚しいだけだぜ。

……と10数年前に考えた僕は、ハッと思い出した。
持っているのですよ、楽しき日々を過ごした高校のリングを。自分の意思ではなく卒業記念で作られたもので、同窓の仲間たちはみんな同じものを持っている。

机の引き出しの奥から引っ張り出してみると、あら不思議。どの指にも、全然はまりません。
そっかー、痩せてたんだなーと懐かしく思いつつ、絶対につけてやると執念を燃やした僕は、アクセサリーのリペアショップに駆け込んだ。

リサイズしたリングに満足し、半年くらいははめてたけど、なんだかすぐに飽きてしまい、またしまいこんでいた。
そしてこの原稿を書くために、またまた引っ張り出してみたら。
あれ? またきつくなっている。

指輪って不思議だね。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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