2020.9.15
死にかけLOMOを自力で復活させたら、やっぱり最高のカメラだった
おもに若い女子の間でフィルムカメラのブームが続いているようで、大変素晴らしいことである。
僕は若くもなければ女子でもないただのおっさんだけど、このブームに便乗し、一時期忘れかけていたフィルムカメラを復活させてよく撮っている。
フィルムカメラは、とにかく無性に楽しい。
被写体を慎重に選び、光や距離などを考えながら、おもむろにシャッターを切るあの感じ。
デジカメ、特にスマホ付属のカメラで撮るのは軽いメモのようなものだとすれば、フィルムカメラでの撮影は俳句をひねるような感じだ。
フィルムといえどもコンパクトカメラが好きな僕は、富士フイルムが2005年に発売した名機、ナチュラブラックF1.9を中心に使っていることを以前にこのコラムで紹介した。
そして最近、傷んで使えなくなっていたもう一台のコンパクトフィルムカメラを自力で整備して復旧。
旧ソ連が開発したカメラ、LOMO LC-Aである。
ややレアもののメイド・イン・ソ連製LOMOだから大事に使わねば
1983年の旧ソ連において、日本製のカメラCOSINA(コシナ)CX-2をパクる形で開発されたLOMO LC-A。
かつてはソ連国内だけで年間150万台も販売されたが、ソ連崩壊後は生産中止になる。
しかし、このカメラを愛用していたウィーンを中心とする欧米の若手芸術家有志が支援し、ロシアで生産が再開された。
品質が不安定なため一台一台の性能にバラつきがあり、レンズ設計上の欠陥から画面周辺に光量落ちが見られるLC-Aは、そのダメダメなスペックが逆に愛され、1990年代末〜2000年代にかけて世界的ブームとなった。
LC-Aはかつてのソ連製、再生産以降のロシア製、その後に生産工場を移した中国製と、三種に分けられるそうだ。
ソ連時代のものは無印で、再生産以降のLC-Aはファインダーバリアに通称「ロモ蔵」と呼ばれるキャラクターが描かれている。
僕が持っているLOMO LC-Aは、実はちょっとしたレアもの。
「ロモ蔵」が描かれているので再生産期以降に販売されたもののはずだが、レンズバリアに記されているのは通常の再生産品の「MADE IN RUSSIA」ではなく、「MADE IN USSR」という文字。
つまりソ連時代に製造されてデッドストックとなっていたものが再生産品と一緒に出荷され、「ロモ蔵」マークを追加して売り出されたものだったと推測される。
そして僕のLC-Aは経年変化により、フィルム室への光侵入を防ぐ“モルト”と呼ばれるスポンジの接着剤が溶け、ベタベタのボロボロになっていた。
もう使い物にならないと諦めてしばらく放置していたのだが、調べてみるとこのモルト溶けは古いカメラには起こりがちなことらしく、自分で修理できるということが分かった。
モルトを新しく貼り直して生き返ったLC-Aで、最近は遊んでいるというわけなのです。
泣く子も黙るMADE IN USSRのLOMO LC-A。かわいくて仕方がない。
写りもやっぱり最高だ。
作例を何点か載せておくので、見てください。
この良さ、分かってもらえるだろうか。