2020.8.31
ザ・青春のスニーカー。コンバース・オールスターを追加購入した理由
「スニーカー」というのは1976年に創刊した雑誌『ポパイ』あたりが一般に広めた呼称で、それまでの日本では運動靴やズックと呼ばれていた。
確かに、僕が幼い子供の頃はズックと呼んでいた気がする。
ということは、1980年にリリースされた近藤真彦のデビューシングル『スニーカーぶる〜す』は、定着したばかりのファッション用語を盛り込んだ、おしゃれなタイトルだったんだな。
さすが、松本隆先生。
のっけから話はあさっての方向へ進んでいくのだが、続けます。
ファッション用語というのは陳腐化しやすいため、同じアイテムでも時代とともに、どんどん呼び名を変えられてきた。
「ズボン」が「パンツ」へ、「チョッキ」が「ベスト」から「ジレ」へ、「ジャンパー」が「ブルゾン」や「ジャケット」へ、「セーター」が「ニット」へ、「背広」が「スーツ」へ、「Gパン」が「ジーンズ」から「デニム」へ。
……ふう。他にもまだたくさんの例がある。
そう考えると「スニーカー」は比較的、長持ちした呼称だ。
だが最近、好事家の間ではアメリカの俗語である「キックス」が用いられるようになってきた。
まだ一般的に浸透しているとはいえないが、おしゃれ業界では“キックス派”が主流をうかがう情勢になってきている。
僕はというと、スニーカーは好きだが、やれレアモデルだ、ヴィンテージだ、最新テクノロジー搭載だと騒ぐ、マニアの気持ちは理解できない。
そこまでスニーカーに入れ込んでいるわけではないので、「キックス」なんて口に出すと、尻のあたりがムズムズしてくる。
だから当分は「スニーカー」と呼ばせていただこうと思っている。
2017年に登場したコンバース 100周年記念モデルはとにかく履き心地が違う
スニーカーなんて、履きつぶしてなんぼだと考えている。
ヨレヨレになるまで履き倒したうえで、限界がきたら、あっさり捨てる。
だから靴箱の中には常に数足のスニーカーしかないが、例外的に長年キープしているのがコンバースのオールスターだ。
オールスターといってもマニアさんは、やれメイド・イン・USAじゃなければとか、1970年代に製造されたヴィンテージに限るとか、シグネチャーモデル「チャック・テイラー」の復刻版が最上だとか言い出すのだが、そんなことはやっぱりどっちでもいい。
僕のオールスターはいつ買ったんだったか。
確か二十年近く前だったと思うが、よく覚えていない。
量販店で売られていた、まったくノーマルなオールスターだ。
“履きつぶし派”の僕がオールスターだけは長年キープできている理由は単純。あまり履かないからだ。
最近だと、年に2、3回も履いていないかもしれない。
でもたま〜に履くと清々しく、くすぐったい気分になる青春のスニーカー。
それがコンバース・オールスターなのだ。
このペースなら全然傷まないので、今持っている一足をおじいちゃんになるまでキープしよう。
……なんて思っていたのだが、実は最近、もう一足買い足してしまった。
オールスター発売100周年を記念し、2017年に登場したモデルだ。
アウトレットのコンバースストアで試し履きしてみたら、従来のオールスターとはまったく違う履き心地に驚嘆。
「これは!」と思って、お会計してしまった。
外観のデザインは100年変わらぬそれだが、インソールやボディ、それにタンが従来のものと比べると明らかに肉厚。
アウトソールもだいぶ違うようだ。
その他のディテールも随所に相違点があるそうだが、そういうのを追求するとマニアっぽくなるのでパス。
とにかく履き心地抜群。
オールドスニーカーは長時間履くと足が疲れてくるものだが、これはまったく大丈夫。
幾分ぼってりとボリューム感が増した外見も、かなり好みなのだ。
従来のモデル(黒)と100周年モデル(白)の2パターン持ちになったオールスター。
なんとなく気分が盛り上がっているので、今年はいつもより出番が多くなるかもしれない。