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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

G.I.S.M.横山SAKEVI氏のアートブックは正座して拝読するに値する一冊

税込11,000円と、一冊の本としてはかなり高価なものだ。
だから4月の発売以来、少し躊躇していたのだが、我慢できずに買ったのが横山SAKEVIのアートブック『Oppressive Liberation SPIRIT Volume1』である。
そしてこんな軽いノリの本コラムで紹介していいものかどうかも少し迷っていた。
何しろ僕ら世代のハードコアパンクファンにとって、G.I.S.M. (ギズム)のボーカリストである横山SAKEVI氏と言えば、ハリー・ポッターのヴォルデモート卿よろしく、その名を口にするのもはばかられる最大最強の存在なのだ。

だから軽々に語ることはできない。
でも手元に置いておくだけで満足できるような素晴らしい本なので、失礼にならないように気をつけながら、ご紹介したいと思った次第である。

1981年に結成された横山SAKEVI率いるG.I.S.M.は、“anarchy & violence”の活動スローガンを掲げるハードコアバンドで、怖いバンドが勢ぞろいしていた1980年代のパンクシーンの中でも、圧倒的な存在だった。
メタル色の強いハードコアサウンドは死ぬほどかっこよかったし、何より、スローガンを地でいく暴力的なステージは活動初期から数々の伝説を残していた。

バンドにまつわるすべてのアートワークを手がけてきた横山SAKEVIの作品集

G.I.S.M.が濃密に活動した時期は1980年代だが、僕は噂に恐れをなし、当時は結局、一度もライブを観にいったことがなかった。
初めて観たのは2002年2月。
初期からのギタリストであるRANDY内田氏の死去に伴っておこなわれたライブイベントだったが、G.I.S.M.はこれを最後に事実上、解散してしまう。

しかし2016年4月、オランダで開催された音楽イベントに出演し、14年振りに復活。
それ以降はほとんど告知なしでライブをおこなったり、未公開ライブ映像のみを編集した映画を限定上映したりと、散発的な活動を続け今にいたる。

横山SAKEVIは、バンドにまつわるすべてのアートワークをみずから手がけてきた。
そんな氏の手によるG.I.S.M.草創期からのフライヤーやレコードジャケット、『WARP』『BURST』などの雑誌に掲載したアートワーク、自身のブランド「stlTH®」のグラフィックなど、数々の作品を一冊にまとめたのがこのアートブック。
ファンとして、買わずにはいられますまい。

内容は筆舌に尽くしがたいほど素晴らしく、いつも正座してページをめくっています。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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