よみタイ

佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

おじさんの夢と希望が詰まったライブハウスはこれからどうなるの?

JALがリーマンショック時を超えるとてつもない赤字を計上したとか、アメリカのGDPが世界恐慌時を遥かに凌駕するマイナス率になったとか、何十万件の中小企業が廃業を検討しはじめたとか、とんでもなく暗い経済ニュースが飛び交う昨今。
皆様いかがお過ごしでしょうか?

とかなんとか言ってるけど、僕は基本的に経済やらビジネスやらの話はよく分からないし、根本的に興味がないダメ親父だ。
本屋に大量に並ぶビジネス書も、ほとんど読んだことがない。

だいたい、アレって面白いか? どれもこれも同じことばかり書いてない?
本当は数ページでまとめられる話を極限までふやかして、文字数を稼いでいる本ばかり。
そんな1時間で読めそうな、“ただ売れるだけ”の衣だけ豪華な天ぷら本ばかり作っている人が、天才編集者を自称している世の中だからな……。

あ、やば。
エグいぼやき節になりそうなので、このへんで。

むしろ早めに撤退か営業縮小などして、しかるべきタイミングでの復活を望む

根本的に世の中のことがよくわかってない、お馬鹿なサブカルおじさんの言うことなので気にしないでください。
そんな僕が今、一番気になっているのは、ライブハウスについてだ。

僕世代の音楽好きは、クラブ派とライブ派に分かれるけど、僕は圧倒的にライブ派。
思うに、クラブ派は未知の音楽や人との出会いを求め、ライブ派は既知の音楽のパワーを求める人だ。
15の頃からお世話になっている新宿ロフトや新宿アンチノックには、いまだによく通っていた。
コロナの前までは。

コロナとライブハウスは、どう考えても相性が悪すぎる。
だってあそこは満員電車以上の濃厚接触率の、密密中の超密空間。
そして汗や唾などの飛沫が飛びまくる風通しの悪いウエットゾーンであり、それが醍醐味でもあったのだ。

多くのライブハウスはすでに営業再開しているが、スケジュールを見ると、あまり客が入らなそうなプライベート規模のバンドか、入り客を極度に絞った椅子席でのライブに限って、恐る恐る運営していることがわかる。

数ヶ月前まで当たり前だった、世の中で一番熱くてうるさくて楽しい空間は戻っていない。
そんなの、本物のライブハウスじゃない!
このままでは、もともと安定した経営など望むべくもないこの業界は、破滅への道まっしぐらだろう。

嫌だよー! どうすればいいんだよー!
と叫んでも、有効な打開策はなかなか見つからないだろう。国の補助なんてあてにならないし。
僕は“ライブハウス愛”が強いだけに、ただ「頑張れ!」なんて無責任なことも言えない。
こうなったら無理な営業はせず、なるべく傷の浅いうちに一旦、勇気ある撤退をしてはどうだろうか。
そして他の仕事などで力を温存し、コロナ禍が去ったのち、空き倉庫とかを利用して復活してくれればと思ったりもするんだよな。

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Twitterアカウント
  • よみタイ公式Facebookアカウント

関連記事

よみタイ新着記事

新着をもっと見る

佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

週間ランキング 今読まれているホットな記事