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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

海外旅行必携品、紺のニットジャケットを準備して思うことなど

普通に海外へ旅できるようになるまで、あとどのくらいかかるのだろう。
毎日増え続ける国内と世界のコロナ感染者数を見ていると暗澹たる気持ちになり、当たり前のように海外へ行けたあの日々が懐かしく感じられる。
外務省のホームページを見ると、8月中旬の段階で「日本からの渡航者や日本人に対して入国制限措置をとっている国・地域」は120か国/地域にものぼる。

すでに入国制限を解除した国もあるが、飛行機がろくに飛んでいないんだから、ほとんどどこにも行けないことに変わりはない。
本当に、いつまでこんな状況が続くのか……。
まさか、人々の国際的な往来が途絶えるなんて。
考えようによっては、我々はまったくすごい時代に生きているのだ。

ビーチリゾートであっても、ジャケットを忘れると肩身の狭い思いをすることがある

ああ早くどこかに行きたい……という願望が、こんなことを思い出させたのかもしれない。
僕が海外旅行へ出るときに、必ず持っていくジャケットについてだ。
僕は100%ドメスティックに仕事をしているので、海外へ行くときは基本的にすべて遊び。だからゆるゆるなカジュアルスタイルで、ふらっと飛行機に乗って出かけるのが常だが、リゾート地であっても1枚のジャケットだけは必ず持っていくことにしている。

海外ではジャケットが必須だと痛感したのは、だいぶ前に訪れたモルディブだった。
基本的にビーチリゾートだし、宿泊はコテージだから適当な格好でいいやと思って準備を怠っていたら、レストランやレセプション、ロビーやバーではジャケットを着ている男性が多く、ヨレヨレTシャツの僕は恥ずかしくなってしまった。

特にヨーロッパ系の観光客はたとえ短パン姿でも、Tシャツの上にジャケットを羽織ったり、こぎれいな襟付きシャツを着たりしている。
足元も、ビーチサンダルではなくエスパドリーユなど。
そこまでパリッとした格好でもないのだが、形だけはそういうものを着るのがマナーなんだなと思い知らされた。
だからその次の旅からは、コンパクトに丸めてもシワにならないサマーニットの紺ジャケを、必ず持っていくようにした。

でも、せっかく持っていっても使わないことも多い。
ホテルの雰囲気は行ってみないとわからないので、結局、終始カジュアルでOKだったという場合も多いのだ。
それで、一昨年の年末年始に訪れたタイ・ピピ島のリゾートでは、うっかりジャケットの準備を忘れていた。
そんなときに限って、思いがけずホテル主催のニューイヤーパーティというものが開かれた。
会場に行ってみたら案の定、男性の皆さんはジャケットかパリッとした襟付きシャツ。
「しまった! やっちまった」と思った。

だから、今後も海外へ行くときは、絶対にジャケットを忘れないようにしたい。
という備忘録としてこの原稿を書いているのだが、本当にいつになったら……。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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