そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。
2020.7.8
ニトリの金属製ストローは、リモート会議の必需品だった
僕はフリーの編集者だが、現在は編集よりも原稿書きの仕事をメインとしている。
我が妻は、僕がかつて勤めていた出版社の広告営業部員。
毎朝出勤する妻を「行ってらっしゃい」と見送ったのち、家の仕事部屋にこもって静かに原稿を書く生活をしていた。
しかしコロナ以降、妻の会社もテレワーク推奨となり、現在、週の半分以上は家で仕事をしている。
僕の仕事部屋の隣にある子供部屋が、昼間は妻専用になった。
もともと同じ会社で働いていたとはいえ、こんなに至近距離で仕事をするのは初めてで、いろいろ驚かされることがある。
僕は人との連絡はメールかラインかメッセンジャーでのやりとりばかりで、よほどのことがない限り、こちらから誰かに電話することはないし、向こうからもかかってこない。
たまにリモートによる打ち合わせや取材はあるが、そんなに頻繁でもない。
ひたすらカチカチカチカチとキーボードの音を響かせるのが、僕の仕事なのだ。
ところが、営業マンの妻ときたら。
朝から晩までひっきりなしに誰かと電話し、リモートで打ち合わせばかりしている。
一人で集中して何かをつくる作業こそが仕事だと思っている僕は、「人と話してばかりで疲れない? それに、いつ仕事してるの?」と心配になる。
でも彼女の仕事は人とコミュニケーションしてナンボなのだそうで、話は噛み合わない。

顔を正面に向けたままスマートにチューっと飲める。そしてエコ
リモート会議のプロになりつつあるそんな妻から、教えてもらった便利グッズがある。
ニトリで販売されている、ステンレス製ストローだ。
使い捨てのビニール製ストローを減らす目的で作られたエコ商品である。
でも、飲み物は直接コップに口をつけてゴクゴク飲むのが好きな僕には、無用の長物だと思った。
ストローなんかもともと使わないんだから、金属製にしたって必要はない。
しかし妻が言うには、リモート会議でPC画面に参加者の顔が並んでいると、飲み物を飲みにくいのだそうだ。
コップやペットボトルに口をつけ、カメラに向かってあごを上げて飲むと、鼻の穴をみんなに晒すことになる。
それに、リモート会議では並んだメンバーの中で違う動きをすると目立つので、ちょっと顔を横に向けたり画角から外れたりもしにくい。
だから、コップにストローをさし、顔を正面に向けたままチューっと飲むのが正解なのだそうだ。
ほう、なるほど。
妻のいうことは割と素直に聞く性質の僕は、さっそく自分専用のニトリ製ステンレスストローをご購入。
先日あったリモート会議で使ってみたら、妻の主張は一理あることがわかった。
すごくスマートに飲めるのだ。
対面の会議よりも自分の顔を注視されることが多いリモート会議では、本当に便利な品だと思う。
でも待てよ。熱いお茶を飲むときはどうすればいいのだ?
今度、妻に聞いてみようと思います。