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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ニトリの金属製ストローは、リモート会議の必需品だった

僕はフリーの編集者だが、現在は編集よりも原稿書きの仕事をメインとしている。
我が妻は、僕がかつて勤めていた出版社の広告営業部員。
毎朝出勤する妻を「行ってらっしゃい」と見送ったのち、家の仕事部屋にこもって静かに原稿を書く生活をしていた。

しかしコロナ以降、妻の会社もテレワーク推奨となり、現在、週の半分以上は家で仕事をしている。
僕の仕事部屋の隣にある子供部屋が、昼間は妻専用になった。
もともと同じ会社で働いていたとはいえ、こんなに至近距離で仕事をするのは初めてで、いろいろ驚かされることがある。

僕は人との連絡はメールかラインかメッセンジャーでのやりとりばかりで、よほどのことがない限り、こちらから誰かに電話することはないし、向こうからもかかってこない。
たまにリモートによる打ち合わせや取材はあるが、そんなに頻繁でもない。
ひたすらカチカチカチカチとキーボードの音を響かせるのが、僕の仕事なのだ。

ところが、営業マンの妻ときたら。
朝から晩までひっきりなしに誰かと電話し、リモートで打ち合わせばかりしている。
一人で集中して何かをつくる作業こそが仕事だと思っている僕は、「人と話してばかりで疲れない? それに、いつ仕事してるの?」と心配になる。
でも彼女の仕事は人とコミュニケーションしてナンボなのだそうで、話は噛み合わない。

顔を正面に向けたままスマートにチューっと飲める。そしてエコ

リモート会議のプロになりつつあるそんな妻から、教えてもらった便利グッズがある。
ニトリで販売されている、ステンレス製ストローだ。
使い捨てのビニール製ストローを減らす目的で作られたエコ商品である。
でも、飲み物は直接コップに口をつけてゴクゴク飲むのが好きな僕には、無用の長物だと思った。
ストローなんかもともと使わないんだから、金属製にしたって必要はない。

しかし妻が言うには、リモート会議でPC画面に参加者の顔が並んでいると、飲み物を飲みにくいのだそうだ。
コップやペットボトルに口をつけ、カメラに向かってあごを上げて飲むと、鼻の穴をみんなに晒すことになる。
それに、リモート会議では並んだメンバーの中で違う動きをすると目立つので、ちょっと顔を横に向けたり画角から外れたりもしにくい。
だから、コップにストローをさし、顔を正面に向けたままチューっと飲むのが正解なのだそうだ。

ほう、なるほど。
妻のいうことは割と素直に聞く性質の僕は、さっそく自分専用のニトリ製ステンレスストローをご購入。
先日あったリモート会議で使ってみたら、妻の主張は一理あることがわかった。
すごくスマートに飲めるのだ。
対面の会議よりも自分の顔を注視されることが多いリモート会議では、本当に便利な品だと思う。

でも待てよ。熱いお茶を飲むときはどうすればいいのだ?
今度、妻に聞いてみようと思います。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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