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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ノリで買ってしまったお寿司屋さん風“駿河シャツ”が悪くない!

以前このコラムで、大人の男のワンマイルウェアとして最適なのは、ヘンリーネックのロングTシャツであるという趣旨のことを書いた。
その際、興味があるけど無理なのがダボシャツや鯉口シャツ、つまり寅さんが着ているような前開きの和風シャツだとも書いた。
今回、それとは似て非なるものなのだが、延長線上にある“駿河シャツ”なるものを購入しました。

駿河シャツとはその名の通り、駿河湾の海をイメージした墨書風の文字入り前開きシャツで、静岡県富士宮市の鈴木産業という会社が製造販売しているもの。
実は同じ静岡県の焼津市に、形は同じだけど文字が違う“魚河岸シャツ”(杉山安商店による製造販売)というのもあって、駿河シャツはその後追いなのだとか。
ほっほお、知らない文化があるものだ。

たとえ1マイルでも外出は無理。でも快適だしZOOM飲み会では受けるかも

駿河シャツや魚河岸シャツは、約70年前にこの漁業の町で使われていた伝統的な「手ぬぐい襦袢じゅばん」というシャツがルーツ。
静岡だけではなく中京地区で2011〜12年頃にはブームになったというけど、やっぱり知らんなあ……。
でも、こういう地域限定のご当地トレンドって、まさにストリートスタイルとは言えないだろうか。
やや強引だが。

僕が入手したこの駿河シャツは綿100%素材で、素肌に着ると本当に涼しく、これからの季節には最高。
難点は、どうしても魚屋さんかお寿司屋さんに見えるところだ。
もちろん、本物が着ていたら粋でいなせでオシャレなんだろうけど、通りすがりのサブカルおじさんが着ると、なんちゃって感がきつすぎてどうにも情けない。

個人的にはたいへん気に入ったが、外出には無理だな。
ワンマイルウェアならぬゼロマイルウェア、つまり完全部屋着に決定だ。
外に着ていくことは難しいけど、これを着てZOOM飲み会に参加したら面白いかも。
「おい、どうした!? いつから寿司屋に!!」
「へい、なに握りましょ!」
と、盛り上がるだろう。
5秒くらいは。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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