よみタイ

高橋綾子「綾子のギョーカイ総受けグルメ手帖」
「綾子さんに聞けば間違いない!」――美味なレストランも気の利いた手土産もとびきりのお取り寄せも、おいしいものには死ぬほどうるさいギョーカイのみんなが頼りにするのが、フードパブリシスト高橋綾子のグルメ手帖。誰もがうなる美味の数々を惜しげもなく公開します!

何が何でも予約を取りたい、心もお腹も大満足のお鮨屋さん〜鮨はしもと〜

料理って作る人を表しますよね。
中でもお鮨はその最たるものだと思います。だって基本的に酢飯とタネで構成されたシンプルの極みなので隠しようがない。

握り方、お魚の扱い、酢飯の味わい、酢飯とタネのバランスなどなど、“好き”の要素はいろいろあれど、あのお鮨が食べたい=〇〇さんが握るお鮨が食べたいってことじゃありませんか?

初夏の色になった暖簾には家紋と橋本さんのお母さまの直筆の屋号が
初夏の色になった暖簾には家紋と橋本さんのお母さまの直筆の屋号が

私が頑張って予約を取っているお店のひとつが「鮨はしもと」です。
大将の橋本裕幸さんの握るお鮨は丁寧で真面目でキリッと筋が通っているけどホンワリと優しさがあってさらにちょびっと遊び心がある。

と、言い切っておいて「僕、そんな人間じゃありません」って言われたらどうしよう、ですが私の印象はそんな感じなのです。

橋本さんの笑顔がたまらん! 本当に素晴らしいお人柄です
橋本さんの笑顔がたまらん! 本当に素晴らしいお人柄です

今は17時半と20時半の2部制で一斉スタート。

たまに遅刻してくる方がいると、なぜかみんなで心配してしまう。
「すみません、遅れました」と入ってくるとなぜか何事もなくて良かったと安堵する。
これ、貸切じゃありませんよ。まったくもって赤の他人です。

不思議なのですが、たまたま予約日時が一緒だっただけなのに、なぜか気心しれた友人たちが集まっているかのような雰囲気。そんな居心地の良さを橋本さんとスタッフのみなさまがいつも作ってくれるのです。

お鮨屋さんって初めてだと緊張しますよね。
でもここは心配ご無用、本当に和めますから。

誰かの「おいしい!」の声に全員が頷き、自然と生まれる一体感
誰かの「おいしい!」の声に全員が頷き、自然と生まれる一体感

さて、こちらはそら豆や銀杏、きぬかつぎなど、季節によって変わるお通しから始まります。
そしてお刺身があって、「旬のひと口飯」が出ます。これがね、ヤバうま! 今回はホタルイカでした。
タダでさえおいしい富山のホタルイカを丁寧に下処理してから細かく切り、花ワサビと酢飯を和えています。花ワサビの効き加減とか、ホタルイカの細かさとか、すごく良く考えられているはずだけど、そういう“やってます感”がないところも好き。
旬の魚で変わるので、これまで「鮑の肝と白イカ飯」「香箱蟹とイクラ飯」などをいただきましたが、どれも丼で食べたくなるほどの絶品です。
お腹ぐーぐーで来て、このタイミングでごはんものが入ると、胃がちょっと落ち着きうっかりお酒が進んでしまう。

もしかして計算してます?

上から時計回りに鮟肝、ホタルイカ味噌漬け、マカジキの生ハム
上から時計回りに鮟肝、ホタルイカ味噌漬け、マカジキの生ハム

私が愛して止まない橋本さんの「鮟肝」は味付けがどこよりも好み。

おそらくとっても手がかかっているはずで、これまた飲ませ上手な逸品。
蒸発しているのかと疑うくらいお酒があっという間になくなります。

美しすぎるコハダ! 美しいものはおいしいが私の定義
美しすぎるコハダ! 美しいものはおいしいが私の定義

握りは必ず「コハダ」から。

あぁ、本当に橋本さんは酢の魔術師だわ。
酸の加減がピンポイントで完璧なのです。
お米だって魚だって、その日や個体で状態が微妙に違うことがわかっているのに、いつも“今日が最高”と言える。
おそらく魚の締まり具合で包丁の入れ方も変えていると思われます。

お鮨屋さんの腕がわかるって言われるコハダ。
こちらはどうかと言いますと、一瞬コハダそのものを味わえます。その後、何秒でほどけるのか計算したかのように酢飯がタネと一緒になって喉を通る。

たった5cmほどの“料理”でそんなことができるってすごくないですか?

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高橋綾子

たかはし・あやこ●フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレス時代から培った〝食″へのこだわりは、舌の肥えた業界人も頼りにするレベルの高さ。年間1000を超えるという外食の日々が築き上げたおいしいもの好きが嵩じて、ついに2018年2月に東京・下北沢にてレストラン「üchï(うち)」をオープン。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。
Facebook→https://www.facebook.com/ayako.takahashi.1671

uchi→http://uchi.tokyo/

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