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せきしろ「東京落物百景」
落とし物の数だけ、物語がある――落とされたモノにも、そして落とした人にも。
『去年ルノアールで』『たとえる技術』などの著作で知られる作家せきしろが、東京の街の片隅で、本当に見つけたさまざまな落とし物について考える妄想ノンフィクション。

前回は、アタッシュケースと物干し竿というふつうに考えるとありえない組み合わせの落とし物を発見した著者。
今回は、2枚のハムの落とし物を発見したようで――

別所哲也? シルベスター・スタローン? ハムを落としたのは誰だ

都内で発見した2枚のハムの落とし物。(写真/ダーシマ)
都内で発見した2枚のハムの落とし物。(写真/ダーシマ)

ハム関連のCMに登場していたスターたち

ハムが落ちていた。

ハムと言えば真っ先に思い浮かぶのは別所哲也氏だ。丸大ハムのCMに出演し、「ハムの人」なる異名も持っている。

「ハムの人」と言えば新庄剛志氏もそうで、北海道日本ハムファイターズへ移籍した際の入団会見で「ハムの人」という発言をしている。新庄剛志氏もCMに出演していて、こちらはもちろん親会社であるニッポンハムのCMだ。

ハムのCMというと私の世代はシルベスター・スタローン氏を外せなく、伊藤ハムのCMに出演していた。「イトウハム、イズ、オイシー」などとひたすら飽きることなく真似したものだ。

伊藤ハムのCMだと日本人プロサッカー選手第1号の奥寺康彦氏も出演していたのを覚えている。サッカー繋がりではリトバルスキーも出演していた。「リティパワーだ!」というセリフを思い出したが、それはミロのCMだ。

サッカー選手というカテゴリーだと、釜本邦茂氏も覚えている。こちらは丸大ハムだ。釜本氏の名前を見るたびに「♪釜本さん、釜本さん、お元気ですか~」という歌声が自動再生される。

サッカー以外のスポーツで言うとニッポンハムは野球選手のイメージがあり、江夏豊氏や大沢啓二氏が思い出される。他にもいるはずなのだがしっかりと記憶に刻みこまれているのはこの2名だ。

このように思い出すCMは昔のものばかりで、最近は誰が出ているのかはっきりと思い出せない。CMを見る機会が減っているのか、年齢のせいで記憶力が衰えているのか、もう新しいものを欲していないのか、もしかするとそれらすべてなのかはわからない。考えてみるとCMに限らず漫画も音楽も昔のものを欲している。

たまに掃除や探し物をしていると古いVHSのテープを見つけ、ラベルに何も書かれていないから中身がわからずに再生してみると雑多に様々な番組が重ね撮りされているのだが、気づくとCMばかり見ている。懐かしいCMだらけなのだ。ひたすらカレーマルシェのCMやラモスのバンテリンのCMが流れている時もあるが、突如現れる『口臭快道』のCMは完全に忘れていた記憶を強引に蘇らせてくれるし、エドウインのCMは頭の中を「♪ゴーマールサーン」でいっぱいにしてくれる。

最近はYouTubeで古いCMを集めたものがあるのでそれを流し、アーモンドチョコレートのCMの渡辺徹氏がスリムだなあとか思いながらお酒を飲み続け、いつしか酔って眠りにつくのだ。

そんな私の生態はどうでもよく、結局何が言いたいのかと言うと、このハムの落とし主はスタローン氏の可能性がなくもないということなのである。

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せきしろ

せきしろ●1970年北海道生まれ。主な著書に、映像化された『去年ルノアールで』や、映画化された『海辺の週刊大衆』、『1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった』(共に双葉社)など。また、又吉直樹氏との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』(幻冬舎)、西加奈子氏との共著『ダイオウイカは知らないでしょう』(マガジンハウス)も。
ツイッターhttps://twitter.com/sekishiro

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