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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

巣ごもり生活にもたいへん便利。ベストがベストな季節です

もともとベストは好きだったが、ここのところ使用頻度がいやに増している。
厚手のダウン素材から薄手のものまで、その日の気温と気分によって替えつつ、気がつくといつもベスト。
その理由はわかっているのだ。
巣ごもり生活だからだ。

ずーっと家の中にいて、仕事をしたりテレビを見たり音楽を聴いたり犬をいじったり子供と遊んだり本を読んだりして、外出するとしたら朝夕の犬の散歩か、生活必需品の買い出しくらいという暮らし。
皆さんも同じだと思うけど。

そういう生活に、ベストはとても便利です。
袖がないから家の中で着ていても鬱陶しくないし、この季節の少しの肌寒さや思わぬ気温変化をしのぐのに最適。
それに、外に出るとしても遠出はしないから、ベストのポケットに財布やスマホ、IQOSなどを常につっこんでおけば、思い立った瞬間にそのまま出発できる。

ベストを着込んで過日の日常生活とアフターコロナワールドに想いを馳せる日々

巣ごもり生活によって食生活から家具、着るものまで徐々に変化してきた。
これはこれで新しい発見もあって刺激的だったりして。
むしろいま僕は、2ヶ月前の生活がどんな風だったか軽く忘れかけてきている。
あの懐かしき日常に戻れるのはいつのことやら。

本当だったら今頃は、オリンピックへのカウントダウンで盛り上がっていたんだろうな。
例年4〜5月の我が家は、浮かれ気分でいろんなところに繰り出していたな。
去年あまり行けなかったライブに、今年はいっぱい行こうと決めていたのに。
まさか毎日毎日、妻や子供や犬とともに家の中で閉じこもりきりになるとは。
アフターコロナワールドは、いったいどんなことになるのかな……。
世紀の大混乱期の今をしっかりと味わいつつ、順応して生き抜くことを考えたい。

なんで俺は家の中でずっとベストを着ているんだったっけ?
と考えていたら、そんなことをしみじみ思った次第であります。おわり。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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