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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

ワーク系コーデの仕上げに、いい感じで経年変化したレッドウィングを

モテたい盛りの大学生のように、血眼になって最新ファッション情報を追い求めたりはしない。
もういい大人だし。

仕事柄もあってシーズンごとの流行は横目でうっすらチェックするけど、すぐトレンドアイテムを買いに走ることもない。
物を買ったら最後、ほとんど手放さないという、こんまりが卒倒しそうな悪癖を持つ僕の家の中を探せば、いまのトレンドに見合うアイテムがたいていは眠っているからだ。

そんな僕の感度緩めアンテナが、ここのところワーク系スタイルのトレンドをキャッチしています。
「ワークね、それならコレとコレを」と、クローゼットの奥の家庭内ヴィンテージアイテムを引っ張り出し、自分なりの今シーズン風コーディネートをつくる。

そして足元だが……。
どちらかというとアメリカンテイストで仕上げたい昨今流行りのワーク系スタイルに、ブリティッシュのドクターマーチンなどは合わせたくない。
やっぱりアメリカンなワークシューズでなければ。

意外と細かいのだ。おじさんも。

アイリッシュセッターブーツのローカット版は、いま見てもやっぱり名作の趣

それでは。
ということで靴箱の奥から「よっこらしょ」と取り出しまするは、レッドウィングの“ワークオックスフォードモックトゥ”だ。

レッドウィングでもっとも有名なブーツである、“アイリッシュセッター”を短靴にしたようなこの靴……。
いや、この言い方は正確じゃない。
このワークオックスフォードという靴、型番#8109も、アイリッシュセッターシリーズの一部なのだ。

1950年代初頭、レッドウィング社は白くて平らでクッション性に富むソール(トラクショントレッド・ソール)を持つ、8インチ丈の画期的なブーツ=アイリッシュセッターを発売。
するとすぐに評判となり、現在でも人気の高いショート丈(6インチ)のブーツや短靴(オックスフォード)などのバリエーションが次々に追加された。

僕が持っているワークオックスフォードモックトゥは、アイリッシュセッターブーツのローカット版として、1980年代半ばに日本市場向けに投入されたものだ。

かかと部分には“ドッグテイル”と呼ばれる特徴的なデザインがある。
踏んでしまいがちな履き口の革を補強するため、文字通り、犬のしっぽのような形で縫製されているのだ。
こういう曰くありげなディテールを眺めていると、なんだかうっとりしてしまうのだよね。

僕はこのシューズが再注目された10年ほど前のラギッドブームのタイミングで買い、好んで履いていたのだが、その後のトレンド変化とともに、靴箱の肥やしになっていた。
久々に出してみると、名作の誉れ高きワークオックスフォードはいま見てもやっぱりかっこいい。
かなり履き倒したので、こなれた感じに育っているのもいいじゃないか。

今年の春はコレだな。と心に決めているのです。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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