よみタイ

佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

毎日持ち歩きたくなる、200円台の超かっこいい万能ナイフ

見えない自由がほしくて、ポケットにはいつも一本のジャックナイフを……、
なんていうタイプでは全然ないんだけど、中高生の頃は常にナイフを持ち歩いていた。

なぜなら、剣道部だったから。
竹刀というのは使ううちに、打突する部分の竹がどうしてもささくれ立ってくる。
そのささくれを削り取るために、ナイフが必需品だったのだ。

竹を削ったことがある人には分かると思うけど、刃の薄いカッターナイフは不向き。
竹の繊維に沿って刃が深く内側に食い込んでしまうからだ。
表面のささくれだけを軽く削ぎ落とすためには、ある程度肉厚の刃を持つナイフでなければならない。

そこでよく使っていたのが、昔ながらの肥後守ひごのかみだった。
肥後守を鉛筆削り用に使っていたのは、僕よりもだいぶ上の世代の人たちだけど、僕が中高生の頃は、まだ文房具屋で普通に売られていた。

いまも街道場で剣道を続けている僕は、やはり竹刀の修理用にナイフを持っている。
肥後守はあまり見かけなくなったので、使っているのはホームセンターで見つけた別のもの。
それがなかなかの優れものなのだ。
OLFA(オルファ)というカッターナイフの老舗メーカーから発売されている、“クラフトナイフS型”だ。

スライド式切り出しナイフで、肉厚の刃は竹を削るのにちょうどいい具合。
刃は前後2箇所についていて、片方が鈍くなったら前後を入れ替えることができる。

“工作からアウトドアまで幅広く”とメーカーが謳うだけあり、手頃な大きさと鋭い切れ味は使い勝手がよく、僕は竹刀手入れ時以外でもこのナイフを持ち歩くようになった。

刃渡りが短いので、余計なトラブルに巻き込まれる心配もありません

洋服好きなら共感してくれる人がいると思うけど、僕は服を買ったら直ちにタグを切って、可能ならすぐにでも袖を通したくなるというアホな性質を持っている。
店のトイレや自分の車の中でタグのひもを切ることが多いので、刃物を一本持っていると便利だ。

それに、先週のこのコラムで書いたように、僕は野外で見つけたちょっと気になるものを蒐集する趣味がある。
植物の茎などを切る際にも、このナイフは十分に使える。

ここで気になった人もいるはず。
ナイフを持ち歩くなんて、銃刀法違反なのでは?と。

欧米の人のEDC(Everyday Carry=毎日持ち歩くもの)を見ると、多くの男性がナイフを携行していることが分かる。
ナイフを持つことが、“大人の男の象徴”的な面もあるのだろう。
一方、日本の法律は厳しく、特段の用がないのにナイフを持ち歩いていると、それだけで検挙されてしまうことがある。

銃刀法がこんなに厳しくなったのは、1990年代末〜2000年代初頭にかけて、ナイフを使った少年による殺傷事件が多発したためだ。
当時、問題視されていたストリートギャングも、バタフライナイフを持っている者が多かった。

そうした状況を受けて2000年代に銃刀法の細則や解釈が厳しくなり、刃渡り6cm以上の剥き出しあるいは飛び出し式ナイフ、刃渡り8cm以上の折り畳み式ナイフを主たる目的なく持ち歩くと、それだけで検挙されてしまうようになった。

でもこのOLFAクラフトナイフは全然セーフ。だって刃渡り3.6cmだから。
服のタグ切りや植物採取という平和利用のためのナイフで検挙されたらたまらんから、そのへんのところはきちんと確認した上で、堂々と持ち歩いているというわけだ。

そしてこのOLFAクラフトナイフの一番良いところは、とにかく安いということ。
だってAmazonではたったの257円ですから。

写真を撮るためにちょっと見栄えよくしようと、ストラップ用の穴にパラコードをつけてみたら、さらにカッコよくなっちゃった。
ますます愛着が湧いてきたところだ。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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