そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。
2019.4.26
これからの「サンダル」の話をしよう〜ご当地サンダルの時代が来るのか
梅雨の頃から夏の終わりまで、僕はあまり靴を履かなくなる。
もちろん、打ち合わせや取材がある日、それにちゃんとした店で食事する日なんかは履くけど、一人でひたすら原稿をまとめるだけという日は、Tシャツにショートパンツ、そして履物はサンダル一択だ。
要するに、平日でもだらっとしたリラックススタイルで仕事している。
……誠に申し訳ない。なんて、誰にともなく謝ってしまうのは、元サラリーマンの性か。
ずっとハワイアナスのビーチサンダルを愛用してきた。
一度だけ葉山のげんべいサンダルに浮気したことがあったが、やはりあの履き心地が忘れられず、ハワイアナスに戻った。
でも昨年の夏、僕はついにハワイアナスを卒業した。
それに代わる素晴らしいビーサンを発見したからだ。
その名も“ギョサン”。
夏休みに訪れた八丈島で買った。
ハワイアナスからギョサンへ。ギョサンからピピサンへ
ギョサンにもいくつか種類があるが、僕が買ったのはHealth印の樹脂製一体成型サンダル。奈良県の森川ゴム工業所というメーカーがつくったものだ。
ギョサンというのは小笠原諸島〜伊豆七島特有の呼び名だ。
ウィキペディアによると、小笠原諸島が日本に返還された1968年頃から漁師の間でこうしたサンダルが普及しはじめ、まもなく島内の一般住民も日常的に使用するようになり、ギョサンの愛称で呼ばれるようになった。2000年代前半には、嵐の大野智がテレビの企画で着用したことから、全国のダイバーショップで売られたりグアムに進出したりと、ちょっとしたブームになったそうだ。
僕はマリンスポーツの世界には疎いので、ギョサンブームのことは全然知らなかった。最近はブームも去り落ち着いているようだが、いまでも地元民の間での普及率はすごかった。
タイトな作りのギョサンは、ハワイアナス以上に足にフィットする。靴ズレ(サンダルズレ?)もまったくしない。だから去年の夏は、結局ずっとギョサンで過ごした。
ところが、である。
昨年末に旅行したタイのリゾート地、ピピ島のホテルの売店で、僕はまたしても素晴らしい地元サンダルと出会ってしまった。
ビーサンタイプではなく、よく言えばスポーツサンダル風、あるいはマーク・ザッカーバーグスタイル、悪く言えば便所つっかけタイプのサンダルだ。メーカー名は「FOOTNIKS」。
ググってみると、バンコクに本社があるメーカーだということがわかった。
勝手に“ピピサン”と名付けたこのサンダルは軽くて履きやすく、見た目はいい意味で超チープ。タイにいる間、ずっと履いていた。
今年の夏はどっちをメインにしようかと迷っている。
