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佐藤誠二朗「グリズリー世代のバック・トゥ・ザ・ストリート」
グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう――
そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

キッス世代といやほい世代の父娘で、原宿・竹下通りに行った話

小学5年生の娘の耳にもついにその情報が到達したようで、ある日突然、「原宿に行きたい」と言い出した。
情報源はYouTube。
小学生の人気ユーチューバーが、原宿の楽しいお店をよく紹介しているのだそうだ。

よし、連れてってやるぞ! なんたってパパ、原宿は得意だからな!
裏原宿ブーム全盛期にストリートファッション誌の編集者をやっていた僕は、世の一般的なお父さんより少し、原宿には慣れているのだ。

娘が行きたがっているのは竹下通りだからちょっと専門外だけど、まあ大丈夫でしょ。
「竹下通りなんて行ったら、芸能界にスカウトされちゃうかもよ〜。どうする〜?」とふざけて煽ったら、「いや、そういうのは別にどうでもいいし」とクールを装いながら、いつもより少し念入りに髪をとかしていたのは面白かった。

誘蛾灯のように少年少女を惹きつける原宿・竹下通り

結局その日は竹下通りを三往復させられた。
あんなに長く竹下通りに滞在したのは久しぶりだ。
洋服を見て、スライムを買い、クレープを食べ、グミバイキングをやり、子豚カフェに行き、綿菓子を食べ、ガチャショップに行き、タピオカを飲んだ。

竹下通りはいつの時代も、小学校高学年〜高校生あたりが喜ぶもの満載だ。
売られている品物が変わり、外国人客が増え、それに動物カフェが増殖していたけど、全体的な雰囲気は昔とそう変わらない。
娘はこれから成長するに従って、キャットストリートや裏原宿、明治通り、そして表参道へと興味は移り変わっていくだろうけど、今はとにかく竹下通り最高!のご様子だ。

僕がかつて通っていた店も残っている。
竹下通りの真ん中あたり、雑居ビルの地下にある老舗パンクショップ「ジムズイン」だ。
ここに行く予定はなかったのだが、娘にスクイーズ(手でムニャムニャと握って感触を楽しむおもちゃ)のショップがあると引っ張られて行ったのが、たまたまそのビル。
スクイーズショップはジムズインの隣だったのだ。
「じゃあ君はスクイーズとやらを見てなさい。パパはこっちのパンク屋さんにいるから」と、娘をほったらかして、こちらもしばし楽しんだ。

娘のファースト原宿体験が良きものとなるよう、やりたい放題にやらせたから、帰宅後、妻には少し怒られた。
でも「ディズニーと原宿、どっちが好き?」と聞くと「原宿!」と即答した娘。かなり楽しかったのだろう。
原宿駅は来年のオリンピックに向けて改装中。
この街もまただいぶ変わるだろうけど、誘蛾灯のように少年少女を集める魅力(魔力?)は変わらないんだろうな。

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佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『糖質制限の真実』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『STUSSY2017 FALL/HOLIDAY COLLECTION』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

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