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バッグを持つべきか持たざるべきかそれが問題だ〜アメリカ男はいつも手ぶら

グリズリー……それは北アメリカ北部に生息する大きな灰色のヒグマの名であると同時に、白髪交じりの頭を形容するスラング。頭にちらほら白いものが目立ち始める40~50代を、アラフォー、アラフィフといってしまえば簡単だけど、いくつになってもオシャレと音楽が大好きで遊び心を忘れない彼らを「グリズリー世代」と名付けよう―― そんな思いを胸に、自身もグリズリー世代真っ只中の著者がおくる、大人の男のためのファッション&カルチャーコラム。

アメリカで生まれ育った一般的な男性が、日本に来て驚く光景の一つに、多くの日本人男性が、嬉々として(彼らにはそう見えるらしい)バッグを持ち歩いていることがあるという。特に休日、トートバッグや小さめのショルダーバッグを肩から提げて歩く男性については、「信じられない。恥ずかしくないのか」という印象を持つようだ。

実際、旅行中のアメリカ人男性や雑誌に掲載されるセレブスナップを見ると、圧倒的に手ぶらが多いことに気づく。
アメリカ人男性がカバンを好まない理由は、車社会だから荷物を持ち歩く必要性が薄い、マッチョ文化だから男はいつでも闘えるように両手を空けておくべきと考えている、など諸説あるがはっきりとは分からない。彼らは小さな頃からそういう行動がしみこんでいて、「なぜ?」と問われても、これといった答えが見つからないのだ。

アメリカで持っていると馬鹿にされるショルダーバッグ

彼らは日常生活ではできるだけ手ぶらで歩くのをよしとし、重い教科書を持ち運ばなければならない学生や、大人でもどうしても荷物が多くなる場合は、なるべく男らしいカバン=リュックを選択する。小旅行では手提げのボストンバッグ、ビジネスシーンではブリーフケース一択だ。そして、日本人男性が好んで持ち歩くような小さなショルダーバッグはman purse、略して「murse」と呼んで蔑まれる。

僕もカバンを持つべきか、持たざるべきかについて悩むことがよくある。
無闇にアメリカ人の真似をして、何でもかんでもポケットに突っ込むんで歩くのは馬鹿げていると思うし、荷物を極限まで減らしたシンプルなライフスタイルに憧れも感じる。
なかなか難しい問題だ。

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新刊紹介

佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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