よみタイ

スタンダードの枠を超えた“エスニックチャイニーズ”に舌も心も癒されっぱなし! 〜hugan

中には大きな牡蠣がゴロゴロ入っている「真牡蠣の麻婆豆腐」(2,600円)
中には大きな牡蠣がゴロゴロ入っている「真牡蠣の麻婆豆腐」(2,600円)

だからこの「真牡蠣の麻婆豆腐」だって、牡蠣のエキスが効いたとってもマイルドな麻婆なのです。
麻婆は、中国山椒をたっぷり効かせた痺れるものが正しいと思っていたけど、こういう食材の味わいを感じる麻婆って辛さもあるけどいつまでも食べられて、なんだか幸せ。

こだわりがないって言うけど、豆板醤以外は自家製って、こだわりはハンパないです!

修業していない分、スキルも引き出しもない、だから自分に負荷をかけるし、“訊くこと”を大切にしているそうです。

「朝、まず市場に行ってどれだけ良い食材を仕入れるかに力を注ぎます。それから厨房でどうやったらおいしくなるかを考えます」と。

例えば食べたことのない魚を見れば、魚屋さんにどうやって調理するといいか教えてもらう。いちばんおいしい食べ方は生産者さんがいちばんよくわかっているからと、知らないことはすぐ訊くそうです。

「〆鯖のチャーハン」(1,600円)のハーフサイズ
「〆鯖のチャーハン」(1,600円)のハーフサイズ

それでなのかはわかりませんが、〆鯖を買った時に「バッテラ」をイメージしたことからできたという「〆鯖のチャーハン」は、ガリの甘酸っぱさと鯖の脂のうまみと刺身醤油の甘みが交錯し、一生食べていきたいくらい、めちゃくちゃおいしい!

鶴岡さんはニンニクのような心身を活性させる食材は使わずに、心を鎮める料理を目指しています。
どんなにたくさん食べても喉も乾かず、胃もたれもしない、優しい味わいだから家に帰る前に寄りたくなるのです。

それにお客さまの体調や気分を伺いながら味付けを変えているそうです。
そんな料理人、なかなかいませんよ。

このお店はいわば“ラボ”。
試作を食べて批評してもらうこともあるそうです。

修業していないからこそできることもある、インプットし続けながらアウトプットする、お客さまと一緒に成長する、それが鶴岡さんの強みなのかもしれません。

気がつけば店内はいつしか満席に。
そして、誰もが鶴岡さんの料理に癒されて、元気に家に帰って行くのです。

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新刊紹介

高橋綾子

たかはし・あやこ●フードパブリシスト。国内外ファッションブランドのプレス時代から培った〝食″へのこだわりは、舌の肥えた業界人も頼りにするレベルの高さ。年間1000を超えるという外食の日々が築き上げたおいしいもの好きが嵩じて、ついに2018年2月に東京・下北沢にてレストラン「üchï(うち)」をオープン。おいしいものしか喉を通らない不思議体質。
Facebook→https://www.facebook.com/ayako.takahashi.1671

uchi→http://uchi.tokyo/

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