2019.12.26
東日本橋にひっそりと存在する驚愕の美味フレンチ~mille
メインには鴨、岩中豚、乳飲み仔羊、ヨーロッパ産の雷鳥、山ウズラなどなど、おいしそうなものばかりで迷ってしまう。なので千葉さんに委ねたら今日はエゾ鹿が最高の状態だっておっしゃるので鹿にしました。
58℃で10-12分、低温でしっとりと火を入れてから最後にフライパンで焼き目をつけます。見てください、この真っ赤な色!
どんなにお腹がいっぱいでも食欲をそそります。
鹿をトリミングしてできた端肉や骨を香ばしく焼いてエシャロットとマッシュルーム、鹿のフォンを赤ワインで煮詰めたソースは、普通ならベリーなどでちょっと甘くするところをスパイシーなねずの実とクローブで風味付けするのが千葉さん流。これまたワインが進んでしまいました。
「母が料理が得意だったので僕も兄も食べることが好きだった」と話す千葉さん。テレビ「料理の鉄人」の影響も大きかったそうです。「フランス料理っていいなと思ったのは兄が母の誕生日に連れて行ってくれた築地の『ポトフ』というフランス料理店の料理がすごくおいしかったからです」と。
たまたま求人募集があり、そのお店で働けたのも運命に導かれたってことなのかも。
千葉さんの料理のターニングポイントはこれまでに3回ありました。
最初は芝公園にある「クレッセント」のクラシックなソースと味を学んだこと。少量多皿ではなく、何を食べているかちゃんと記憶に残る味と量にしているのもここのクラシックスタイルが根源になっているそう。
次はフランスで勉強した29歳の時。同じ歳で自分のお店を持って繁盛させていることを目の当たりにして、志の高さが違うことを実感し、気が引き締まった。
最後は料理長として方向性から売上、スタッフ管理などお店のすべてを任された時。自然派ワインに出逢い、カウンターでお客さまと話しながら料理をすることが楽しいと感じ、自分のお店がイメージできた。
そして新たなターニングポイントはmilleをオープンした39歳。
レストランってひとりだと行きづらい、でもビストロ料理にはしたくない。
料理はレストランのクオリティで、ビストロのようにワイン一杯とひと皿でもふらりと寄ってもらえたら……milleは千葉さんの想いそのものなのです。