2019.9.26
一時代を築いた名シェフが新たに提供する大人の隠れ家〜東郷 TOGO’S〜
東郷さんが作るのは“新和食”。
和をベースにした折衷料理です。
理由は東郷さんの経歴を聞けば納得するはず。
高校を卒業してから創業100年以上続く土佐料理の老舗「袮保希」で修業。海外で働く!と思い立ち、ニューヨークへ。「初花」で料理長にまで昇りつめ、松久さんにヘッドハンティングされ、それからは前述した通り。
ニューヨークは人種のるつぼ、だから様々な国の料理を食べ尽くしたそう。東郷さんの盛り付け方や色彩感覚、食材の組み合わせ、タレやソースの味など、すべてが国際色豊かなのはその時に身についたものなのです。
見てください、この見目麗しいお造りを!
真っ赤な洋皿にお刺身にエディブルフラワーの組み合わせですよ!
わさび醤油はエスプーマでゆるい泡状にしているし、酢味噌は赤パプリカと黄パプリカを合わせてソースにしています。
中トロはあえてのアイルランド産。これがまたソースにぴったり! おそらく日本の鮪だと味が強すぎるのだと思います。
前菜も「握り寿司」「茄子の煮浸し」のような“The和食”とフランス料理の「パテ・ド・カンパーニュ」を混在させています。
こういう盛り付けや食材の組み合わせは、海外で12年という経験からなのだと思います。
秋鮭は自家製イクラの醤油漬けとオイスタートリュフソースでいただきます。
小粒で大きさの揃った美しいイクラは漬け加減もちょうど良い。そして何といってもこのソースがおいしい! バターと醤油とオイスターソースを使っているそう。
「かくし味には醤油、味噌、だしなどすべて和のものを使っています」と東郷さん。
あ〜、だからホッとする味わいなのか。
9月の石窯は「キノコのクラムチャウダー チーズ添え」。
南部鉄器の中でいつまでも熱々。かなり細かく刻んだ野菜の食感はなめらかでありながらもしっかりと味わいを主張しています。そしてほんのりとチーズの香りに時折ブラックペッパーがキリっと締める。
なんということでしょう、おいしすぎる!
私史上3本指にランクインのクラムチャウダーです!