2024.11.8
アルテミス計画を徹底解説!【中編】月面基地から火星を目指す! その先に広がる世界とは
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このような拠点作りは、アルテミス計画で月を開拓していく”その先”のミッションに繋がる繋げる狙いもあります。それが火星に人を送る「Moon to Mars」ミッションです。前回の記事でも紹介しましたね。
火星を目指す中で、月の水(H2O)を採取、分解して水素(H)と酸素(O)を獲得し、これらを燃料とするなどするアイデアも上がっています。結局、宇宙開発でお金がかかる大きなポイントは、地球の重力を振り払って宇宙へと飛び立つのにかかる燃料費です。
実際、1kgのものを宇宙に運ぶのに100万円もかかると言われています。
燃料をできるだけ軽くしてまずは月に行き、月で燃料を補給する形にすれば、その重みを減らし、コストを削減できたりもするので、より遠くの宇宙を目指すこともできるわけですね。
月面で実施が検討されていて、個人的に最も注目しているのはJAXAやNASAがそれぞれ取り組んでいる「月面天文台」計画です。天文台と聞くと、想像するのはドーム型の施設に望遠鏡が入っているものかと思います。
地球上で観測しやすい場所を選べば、様々な天体が十分観測できる、と思う人が多いかもしれません。
しかし、天文学をどんどん突き詰めると、もっと多くの天体を見る必要があり、そうすると邪魔になってくるのが地球の大気なんです。なので、大気圏内から宇宙空間へと場所を移し、人工衛星から観測するミッションが増えてきています。
有名なハッブル宇宙望遠鏡はまさに人間の目で見る光をあえて宇宙から見ています。
一方で地上では見えない光を見るために宇宙に出るパターンもあります。
私が専門で研究していたX線天文学はまさにそうで、天体から放出されるX線を見ることでブラックホールの観測などをしています。地球の大気に全て吸収されてしまうX線を見るために、宇宙での観測を行う必要があるんです。
ただ、人工衛星でもまだ達成できていない天文学があります。
それは、私たちがスマホなどで使っている電波を使った宇宙の観測です。厳密には、電波の中のある種類の光だけが、まだ天文学に応用できていないんです。
その一番の理由は地球や周辺の宇宙では、その電波が多く飛び交っているため、星から出ている信号を観測することができないからです。昼間、明るすぎて私たちが星を眺めることができないのと同じような理由ですね。
そこで、地球の大気や電波の影響がない月の裏側への天文台建設の計画が日本で進められています。
まさに「月面天文台」です。これが達成されると、宇宙誕生の初期の姿が解明できるようになると期待されていて、JAXAは最速で2028年から試験的な運用を行えるように調整しています。
天文に携わっていたものとしては、月探査の中でも期待を寄せたいポイントです。
月の拠点が構想され、月面探査だけでなく火星着陸や宇宙誕生の謎の解明まで見据えた計画が進み、加えて天文学まで推進させていくアルテミス計画。間違いなく今後の宇宙開発の中心になっていくので、期待していきたいですね。
そして、政府主導のこれらのミッションだけでなく、アルテミス計画の興味深いポイントは、民間企業を大々的に巻き込んで、宇宙ビジネスという新たな業界を大きく盛り上げている部分にもあります。次回は、今、成長を遂げている宇宙ビジネスについて紹介します。
スウェーデンにあるCrooked Moon Brewingの「Astrofobia(アストロフォビア)」。
パッケージの宇宙飛行士が、アルテミス計画で月面を目指す宇宙飛行士を彷彿とさせることからこちらをチョイス。複数のホップを使うことで強い香りが効く一杯で、2杯目以降にゆっくり飲みたくなるHazy Double IPAです。月で飲むのもこういうビールがいいなと思わされます。まだ探せばオンラインでも見つけられそうなので、気になる方は早めに検索!
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次回連載第26回は11月22日(金)公開予定です。
参考資料
Lunar Living: NASA’s Artemis Base Camp Concept/NASA 2020/10/28
我が国宇宙輸送システムを検討する視点/内閣府宇宙戦略室 2013年3月
JAXA、月面に「天文台」設置へ 2028年度から観測目指す 宇宙誕生初期の謎に迫る/産経新聞 2024年5月17日
今こそ、月へ!将来の月面活動に繋がるシナリオとは?/宇宙科学研究所 研究情報ポータル「あいさすGATE」 2023年7月3日
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