2024.8.23
株価と地震と太陽フレア。一見関係なさそうな事象の裏に潜む共通のメカニズムとは?
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私は、このような発生頻度に関する研究を、太陽以外の恒星で発生するフレアを対象に行っていました。それは、太陽の最大規模のフレアのさらに最大で1,000万倍大きいようなものでした。これらがどのような頻度で発生し、太陽フレアが持つ性質とどれだけ似ているかを研究していたのです。
その結果、1000万倍という巨大なエネルギーまで拡張しても、同じ法則が当てはまることが分かり、学会では専門家の方々と議論させていただく機会もありました。
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ここまでの話でわかると思いますが、ここまで規模が大きくなると発生頻度が極端に低くなるので、研究を進めるのが非常に難しくなります。
そのために、国際宇宙ステーションに搭載されている観測装置を利用し、宇宙全体にある星全てを観測対象にした研究手法を行っていました。ものすごく確率の低い現象でも、宇宙全体でみれば何億という星が対象となるので、1個くらいは爆発を発見できるという作戦です。
ある種の力技のようなアプローチに見えるかと思いますが、宇宙の研究をするときは、こういった確率を範囲で補う手法を取ることがあります。
太陽フレアにも恒星フレアにも地震にも見られる「規模と発生頻度」の間に成り立つ法則性は、自然界の様々な場面でみることができることにも注目が集まっています。
タイトルや見出しから予想できているかもしれませんが、株価の変動にも同じ法則が隠れています。
企業の株価は、市場の需要と供給のバランスによってある程度適正な価格に補正されながら変動していきます。安定した株価が何かの要因によって上がっていった時はバブルと呼ばれ、それが一気に崩壊するタイミングを迎える時があることは、私たちもなんとなくわかっています。
この株価の崩壊も、「市場バランスを崩すような巨大な崩壊は稀で、小さな下落は頻繁に発生する」という関係性があります。
株の大暴落などの変動も、太陽フレアや地震などで見られる頻度と規模の法則に当てはまることが明らかになっているのです。
自然現象だけでなく人間の行動の結果現れる数字にも同じ法則が隠れていることにも奇妙な感覚を覚えます。
他にも、宇宙の現象だと隕石衝突の規模と頻度、自然現象だと山火事や生物の絶滅、人間のシステムの中だとインターネット障害や大規模停電など、様々な場所で共通の性質が見られています。
この法則が、世界で起こりうる事象に対するある程度普遍的なものだということに、宇宙を身近に感じられる気もするし、ちょっと不思議で怖い気持ちにもなります。
宇宙は全く違う世界だとして捉えるのも面白いですが、実は身近なものと同じ自然法則が成り立っていることを知ることも宇宙の楽しみ方だと思います。
私はむしろ、宇宙を身近に感じることができるこのような話が好きなので、また同じような法則性について、どこかで紹介してみようかと思います。
宮城県気仙沼の「BLACK TIDE BREWING」とアメリカの「Tired Hands Brewing Company」のコラボビール「TIDAL HANDS」。潮の満ち引きを誘引する月の引力は、地震に影響があると言われているし、株価には見えざる手による変動もあるし……。
なんといってもパッケージが宇宙感満載で、この記事にピッタリ! フレンチスタイルセゾンで、フルーティーな中に酸味もあり、ゆっくりしながら飲む一杯としておすすめ。商品は取扱店でゲットしてください。
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次回連載第21回は9月13日(金)公開予定です。
参考資料
太陽型星のスーパーフレア/日本惑星科学会誌 Vol. 26 野津湧太、柴田一成
大きな地震(じしん)は何年おきにやってくるの?(はれるんライブラリー・質問コーナー)/はれるんランド
全天X線監視装置MAXIによって得られたdMe型星のフレア発生頻度分布/日本天文学会2017年秋季年会 佐々木亮、坪井陽子、勝田哲、中村優美子(中央大学)、 松岡勝(理研)他MAXIチーム
全天X線監視装置MAXIによって得られたRSCVn型星のフレア発生頻度/日本天文学会2017年春季年会 佐々木亮、坪井陽子、勝田哲、中村優美子(中央大学)、 菅原泰晴(JAXA)、松岡勝(理研)他MAXIチーム
「歴史は『べき乗則』で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学」マーク・ブキャナン (著)、 水谷 淳 (翻訳)/早川書房
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