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大渕希郷「動物ふしぎ観察記」

致死率ほぼ100%! イヌだけじゃない、ネコもヒトも感染する「狂犬病」感染の恐怖

感染を拡大させないために大切なこと

ですから私は、野良猫をはじめとする、野生動物には絶対素手では接触しません

仕事柄、飼い主の不明の動物の保護や死骸の運搬・回収を引き受けることもありますが、経歴のわからない野外の動物に直接触れざるを得ない時は、その見た目や種類に関わらず、必ず手袋をして、長袖を着るなど極力肌の露出を控えます。

もし自分の子供が散歩中にネコを見つけて、触りそうになったら、注意して止めさせ、ネコを追いやります。

ここでお伝えしたいのは、動物を愛することと、動物と無防備に接触することは決してイコールではないということです。
かわいいから、あるいは、かわいそうだからと、むやみに生き物を撫でたり、抱きしめたりした結果、自分が媒介者となって、多くの動物や人間の命を脅かす危険があります。

実は私も幼いころ、捨てられたであろうインコを連れ帰ったことがあります。
しかし、そのインコは人獣共通感染症のオウム病にかかって遺棄されたもので、すぐ死亡しました。あやうく、私だけでなく私の家族にも迷惑をかけるところだったので自分の無知と浅はかさを子供ながらに深く反省したのでした。

すべての動物を愛するからこそ、適切な距離感や対策が必要なのです。
同じ人間同士でも愛の形は様々なのに、別種の動物に対して人間の価値観にもとづく“愛し方”を押し付けてどうするの!? と、私は常々思っています。

新型コロナウイルスも、もともとは野生動物由来とされています。
そのコロナ禍で人と人の接触が見直されている今こそ、動物との付き合い方についてもぜひ考えていただきたいものです。

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大渕希郷

おおぶち・まさと●どうぶつ科学コミュニケーター
1982年神戸市生まれ。京都大学大学院博士課程動物学専攻、単位取得退学。その後、上野動物園・飼育展示スタッフ、日本科学未来館:科学コミュニケーター、京都大学野生動物研究センター・特定助教(日本モンキーセンター・学芸員 兼任)を経て、2018年1月に独立。生物にまつわる社会問題を科学分野と市民をつなげて解決に導く「どうぶつ科学コミュニケーター」として活動中。
夢は、今までにない科学的な動物園を造ること。特技はトカゲ釣り。
著書に『新ポケット版 学研の図鑑絶滅危機動物』『新ポケット版 学研の図鑑 爬虫類・両生類』(いずれも学研教育出版)、『絶滅危惧種 救出裁判ファイル』『動物進化ミステリーファイル』(いずれも実業之日本社)、『どうぶつ恋愛図鑑』『へんななまえのいきもの事典』(いずれも東京書店)など。最近は、「こども環境地球儀ハトホル」(渡辺教材教具)など教材開発にも関わる。愛称はぶっちー。
公式ホームページ: http://m-ohbuchi.com/

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