2021.1.31
カメの「冬眠からの永眠」に要注意! 意外と知らない冬眠の真実とリスク
カメの冬眠に潜むリスク
さて、カメは、主に熱帯・温帯の地域に生息していて世界で360種類ほどが知られています(2021年1月31日現在)。
日本でよく見かける淡水カメ類は、ニホンイシガメ、クサガメ、ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)、ニホンスッポン。
そのうち、確実に外来種ではなく、在来種なのはニホンイシガメ。在来種で、かつ日本にしかしない日本の固有種です。
ミシシッピアカミミガメは甲羅が緑っぽく、頭部側面にまるで赤い耳のように見える模様があることが特徴です。ニホンスッポンは甲羅が皮膚で覆われています。
ニホンイシガメとクサガメは、一見似ていますが、甲羅や頭部で識別ができます。ニホンイシガメは甲羅の真ん中に一本の筋のような隆起があり(イラスト青線部分)、クサガメは3本の隆起があります(イラスト青線と赤線部分)。
まれに、ニホンイシガメとクサガメが交雑をおこし、両方の特徴をそなえたウンキュウと呼ばれるカメが見つかることもあります。
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これらのカメはペットとしても人気がありますが、実はカメの飼育で多いのが冬眠にまつわる死亡事故。冬眠させることはできたものの、そのまま無事に目覚めさせることができず、死に至るというケースです。
これには様々な原因が考えられますが、ここでは一般の家庭飼育で想定される代表的なものを、自分の経験則もふまえて、3つあげます。
1つは、エネルギー切れ。
先述した通り、冬眠中は、代謝は落ちているものの、生命活動は続いています。十分な栄養を蓄えずに冬眠に入ると、目覚めるエネルギーが足りなくなってしまいます。
2つ目は、不衛生な環境。
冬眠前に栄養を蓄えるためたくさんエサを食べると、そのぶん排泄量も増えます。排泄物が多く残ったままの環境で冬眠に入ると、それら有毒物質や雑菌などによって生命活動に支障がきたす場合も。
冬眠に入る前の排泄物で水や土が汚れていないか確認することが必要です。
3つ目は、不安定な温度環境。
温度の変化によって、冬眠と覚醒を繰り返すダメージです。
例えば、暖房をつけたり消したり、時間によって日当たりに変化があったり、要するに短い期間に大きく温度が上がったり下がったりするような場所で冬眠させていると、カメが冬眠と覚醒を繰り返してしまいます。
家電もこまめにON/OFFを繰り返すと消耗が激しくなると聞いたことがある人がいると思いますが、それは動物も同じ。冬眠に入る時と覚醒する時は体に大きな変化が起こります。それをこまめに繰り返すことは、大きなダメージです。場合によっては死に至ることも考えられます。
冬眠場所あるいは冬眠ケースの設置場所は、冬眠に適した温度で、かつ、日々の温度変化の少ない場所を選んでください。
私の場合、今回の凍結騒動は反省の嵐ではありますが、幼少期よりカメを飼育してきて冬眠で死亡させたことありません。
しかし、カメに限らず、「冬眠させるよりも目覚めさせることの方が難しい」というのはよく言われることです。
ですから、家庭内で飼育している場合は、無理に冬眠させようとせず、年間通してその種類のカメの適温環境に保温して飼うのも一つ。
特に持病がある個体や、仔ガメ、老齢個体の冬眠は高リスクです。
また、カメの中には、そもそも冬眠能力を持たない種類もいます。
日本の野外に生息しているカメはウミガメ類をのぞいて冬眠可能。しかし、ペットショップで購入された外国原産のカメの中には冬眠できないものも多くいるのでご注意ください。
不安があるのであれば、冬は暖かい環境に置き、冬眠は避けた方がよいでしょう。
ただし、冬眠をするカメ類の場合、冬眠明けに繁殖行動をする種がほとんどなので、繁殖を考えている場合は冬眠させねばなりません。
いずれにしても、冬眠させるならば、そのカメの種、個体の体調確認、安全な冬眠場所の確保など、飼育する人間側も十分な準備をして臨むべきです。
決して、凍らせてはいけません(自戒の念を込めて)。
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