2026.5.11
5月11日発売! 新刊『昼間のスターゲイザー』東畑開人さんによる「まえがき」全文公開
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ああ、せっかくの楽しくて、豊かな本なのに、堅苦しいまえがきになりすぎました。
心理学と占いの微妙な関係を整理しておきたかったからこうなったわけですが、もしかしたら今からはじまる本文を読んでもらえたら、それだけで十分に僕らの姿勢は伝わったのかもしれません。
実際、僕自身がそうだったのです。以上のようなことをきちんと考えてから、僕はこの対談をはじめたわけではありません。やってみたら、自然とそうなった。
ある日、集英社の編集者浅田智子さんから、鏡リュウジさんと対談をして、本を作らないかとメールがきました。そのとき、僕は二つ返事でしましたOKしました。
とくに迷いもしなかった。
なぜなら、鏡さんとは親戚……ではなく、長い付き合いの友人であったからです。いや、一回り先輩である鏡さん相手に「友人」と言うのもおこがましいのだけど、でもやっぱり僕にとっての鏡さんは「年上の友人」という表現がぴったりきます。
本書の中にも出てくるように、鏡さんとは僕が東京で働きはじめた頃に知り合って、十年近くの付き合いになります。なんだかんだで定期的に会うようになり、何度も何度も飲みに行きました。酔っぱらった鏡さんを介抱したこともあれば、逆に僕がさまざまな愚痴を聞いてもらい慰めてもらったこともありました。そして何より、話はいつも星と心のことになって、僕は鏡さんの広くて深い知識に魅了されてきました。
僕らはフィーリングが合ったのです。二人とも、占いと心理学に対してどこか斜に構えていたから、無限に話をすることができた。
ですから、こうやって本格的に対談をさせてもらい、「占いとは何か」を包括的に考える機会がやってきたとき、僕は思いました。ついに星が巡ってきた!
そして実際、それはきわめて幸福な時間になりました。
二ヶ月に一回のペースで会う。毎回毎回課題図書が出ているので、それらを読んで勉強する。知らないことがたくさんあり、疑問に思うことがたくさんありました。ですから、僕なりに考えたことをぶつけて、「占いとは何か」を語り合った。
仲間もいました。僕と鏡さんの話はまるで流星群のように拡散していったのですが、ライターの小沼理さんがそれを見事にまとめてくれ、さらには浅田さんがきめ細かな編集作業をしてくれました。
対談が終われば、みんなで一緒にお酒を飲みに行き、果てることなくスターゲイザー談義を続けました。まるで大学のゼミのようだったのです。鏡教授を囲む知が溢れる時間だったということです。
そうやって、この本はできました。ですから、この幸福な時間にあった楽しさがとにかく僕の心に残っていて、それだけがせめて伝わればと思って、このまえがきの最初の文章を書いたのでした。
こういうことです。
占いと心理学は抜群の相性でもあるけれど、最悪の相性でもある。そこには、きわめて困難な関係もある。しかし、それを僕と鏡さんの個人的な関係が、少なくとも僕が抱く鏡さんへの個人的な信頼が乗り越えさせてくれた。そして、それを支えてくれた小沼さんと浅田さんがいた。
つながりがこの本を作ったということです。思えば、占い師も心理士も最後はつながりによって、人を助ける専門家なのですから、当然なのかもしれません。
この本がそこにあった、にぎやかで、豊かで、笑いが溢れる、楽しいつながりを再現するものであってくれればと願っています。
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ということで、能書きは十分でしょう。はじめましょう。
繰り返しになりますが、この本は心理士と占い師が「占いとは何か」を話し合った本です。
占いの起源からはじめて(一回目の対話)、占いの技術を話し合い(二回目の対話)、占いの読み方である象徴ワールドを見て回り(三回目の対話)、最後に占いをいかに評価するかを話し合いました(四回目の対話)。そうやって、占いの全体像を包括的に考えようとしたということです。
すると、正月とお盆とクリスマスが一気にやってきました。そこには魅惑的な博学があり、鋭い洞察があり、くすぐられ続ける好奇心があり、そして何より笑いが響き続けている。
昼間のスターゲイザーたちの豊穣なお喋りを、ぜひお楽しみください。
了
本編は好評発売中の 書籍にてお楽しみください。

●心理学と占いに共通するもの
●昼間の星を見ようとすること
●人生には占いの時間も流れている
●占いの分類と夢を見ることの意味
●弱い宿命論と勇気の占星術
●象徴に対する信頼
●救世主か、詐欺師か? ……など
古代の肝臓占いから占星術、ユングや夢分析について縦横無尽に語りつくす!
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