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ザ・ノース・フェイス、パタゴニア…アウトドアスタイルはなぜカッコいいのか。そのルーツは「ヒッピー」にあり

ザ・ノース・フェイス、パタゴニア…アウトドアスタイルはなぜカッコいいのか。そのルーツは「ヒッピー」にあり

ヒッピーに共鳴して生まれたアウトドアブランド群〜書き下ろし著者コメント

 アウトドアウェアを初めてファッションとして認識したのは、ヒッピーです。
 彼らが登場する1960年代まで、アウトドアマンの機能的ウェアは、ファッションとは無縁の“道具そのもの”でした。

 ザ・ノース・フェイスは1966年にアメリカのカリフォルニア・バークレーで最初のストアをオープンしました。オープニングイベントではグレイトフル・デッドが演奏をし、店内にはボブ・ディランのポスターが貼られていたそうです。
 1960〜70年代にアメリカ西海岸で創業したパタゴニアやグレゴリーなども、同様にカウンターカルチャーの背景を持つブランド。
 これらのアウトドアブランド群は、薄汚れた文明社会に背を向け、ナチュラルに生きることを標榜したヒッピーに共鳴し、支援するために生まれたのです。

 1970年代に入るとベトナム戦争から復員したアメリカの若者が、本国で盛り上がっていたヒッピー文化に触れ、アウトドアウェアを羽織り、バックパックを背負って海外を放浪しました。
 彼らのスタイルが世界的なヘビーデューティの流行を生み、今につながるアウトドアミックススタイルが完成します。

 今日では本格的な野遊びを趣味とする人は言わずもがな、たまに家族で山登りやキャンプをする程度の人、果てはほとんど街から出ない都市生活者でさえも、人気アウトドアブランドの服を普通に着こなしています。
 その着こなしのルーツが1960年代のヒッピーにあるというのは、実に面白いことだと思いませんか。

『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』を読めば、このように連綿と受け継がれるストリートファッションの世界を垣間見ていただけると思います。

(2021年8月 佐藤誠二朗)

重版3刷決定! ストリートファッションの全てがわかる

佐藤誠二朗さんの『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』は、モッズ、ヒッピー、ノームコアなど、1930年代から現在に至るまでのストリートファッションを網羅した1冊。
ストリートスタイルの奥底に潜む反逆性とトラッド性の関係を探るため、その成り立ち、細かなスタイルの変遷を、多くの事例や画像とともに詳細に解説しています。ファッションスタイルだけでなく、時代背景や音楽などの情報も満載。
近代カルチャー史の必携としてファッションファンのみならず幅広い支持を受け、この度3刷が決定しました!

全31スタイルのイメージイラストは、全点、漫画家の矢沢あいさんによる描きおろし。史実に忠実に、流麗なタッチで描かれたストリートの少年たちの姿は圧巻です。

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新刊紹介

佐藤誠二朗

さとう・せいじろう●児童書出版社を経て宝島社へ入社。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わる。2000~2009年は「smart」編集長。2010年に独立し、フリーの編集者、ライターとしてファッション、カルチャーから健康、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動を行う。初の書き下ろし著書『ストリート・トラッド~メンズファッションは温故知新』はメンズストリートスタイルへのこだわりと愛が溢れる力作で、業界を問わず話題を呼び、ロングセラーに。他『オフィシャル・サブカル・ハンドブック』『日本懐かしスニーカー大全』『ビジネス着こなしの教科書』『ベストドレッサー・スタイルブック』『DROPtokyo 2007-2017』『ボンちゃんがいく☆』など、編集・著作物多数。

ツイッター@satoseijiro

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