2021.10.25
乳がん治療を中断して妊娠…だいたひかるさんが「100万円の使い道は完全貯金」と断言する理由
不安より希望を大きくする体験談を語っていきたい
必要以上にベビー用品爆買いのスイッチが入りそうになったら、ブログの読者さんたちに「赤ちゃん用の靴下って何枚いる?」「服ってどのくらいのペースでサイズアウトするもの?」と質問して、実体験を教えてもらって、自制心を保つようにしています。
妊娠は初体験、出産育児は未経験なので、分からないことだらけですが、経験者から「赤ちゃんはすぐ靴下脱いじゃうからそんなにいらないよ」とか「ヒラヒラがついたかわいいのはお宮参りの時だけで十分」とか、具体的に教えてもらうと「ああ、そういうものか」と納得して冷静になれます。
がん治療でも、一番参考になったのは経験者の話でした。
初めての放射線治療の前は、治療には何時間もかかるのだろうか、副作用で体がボロボロになってしまうのだろうか、髪がなくなってしまうのだろうか……と不安が大きくなるばかりでしたが、経験者が「放射線治療は“日サロ”って呼ばれていて、1回3分くらいですぐ終わる。あっという間だよ〜」って教えてくれたんです。
実際に治療を体験したら、確かにあっという間でした。副作用もあるにはあるし、そのつらさは体質や病状にもよるでしょうが、病院の先生も殺そうとしてやっているわけじゃなくて、元気になることが前提の治療だし、髪だって抜けても生えてきます。
体験者の話を聞いて、そして自分も体験して、大変なこともあるけど、大丈夫なんだと思えました。実際、世の中には、がん治療を乗り越えて長生きされている方もたくさんいます。
でもメディアでは「死ななきゃオチにならんのかい」と思うほど、悲劇的なところばかりクローズアップされがちなので、ネガティブなイメージが先行してしまって、実態がよくわからないまま不安ばかり大きくなってしまう人も多いと思うんです。
だから私は、自分の実体験をありのまま語るようにしています。
私の場合は、体調だけでなくお金に対する漠然とした不安もすごく大きかったので、同じような人の参考になればと思い、実際にかかった治療費をブログなどで公開しています。病院名のところだけ隠して、「放射線25回分 257,420円」という領収書の写真も出しました。
お金のことや、妊娠のことなどについて語ると、「そんなことまで公にするもんじゃない」とか「無理しているのでは」という声をいただくこともあります。でもそこは、私自身がそんなに深く考えていないというか、もともとドキュメンタリー作品が好きなこともあって、自分の人生に起きていることすべてを淡々と語って、参考になる人や面白いと思ってくれる人がいればいいなと思っています。
表に出る仕事をしていてブログやSNSなどもやっていると「死ね」と言われることもありますが、「まあ、いずれ。少々お待ちください」という感じです。100人中100人に好かれようとは思って生きていないので、私のことや私が発信するものを不快に感じたり、理解できなかったりする人がいるのは仕方がないことだと思います。
ただ、私が発した情報によって、人の不安を煽ってしまうことは避けたいので、体のことも、お金のことも、自分の身の上に起きたことを「大変なこともあったけど、こういういいこともあったよ」と伝えるようにしています。がんや不妊治療に限らず、生きていれば大変なことも良いこともありますから、そのどちらも赤裸々に語ることで、不安ではなく希望の方を大きくできたらいいな、と。
まだまだ働いて貯金もしていきたいですし、私が憧れているさくらももこさんのようにエッセイを出すとか、自分の人生に起きたことを発信することで人の気持ちを楽にできるような、そういう仕事を増やしていけたらいいなと思っています。