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2000万超えの借金を背負った作家・借金玉さんが「100万円でチョウザメを買う」理由

2000万超えの借金を背負った作家・借金玉さんが「100万円でチョウザメを買う」理由

注目の各界キーパーソンに「もしいま自由に使える100万円があったら何に使いますか?」を聞く特集連載。

その使い道から見えてくるのは、それぞれ異なる「お金や人生についての価値観や哲学」。誰しも関心があり、生きていくには絶対に必要だけど、それに囚われすぎても幸せな人生とはいえない――そんな不思議な存在、「お金」に迫ります。

前回は、ニューレディーでコラムニストの肉乃小路ニクヨさんが、100万円の使い道を通して、お金が好きな理由や、お金との幸せな付き合い方について語ってくださいました。

今回は、著書『発達障害サバイバルガイド』などで知られる作家で会社経営者の借金玉さんが登場。そのペンネームの通り、数千万もの借金を背負った経験を持つ借金玉さんは、100万円をどのように使うのでしょうか。

(構成・文/「よみタイ」編集部)

カラスミ作りを極めた男が次に目指すもの

今100万円を使うなら、チョウザメを買います。キャビアとなる卵を産む淡水魚です。
日本では、宮崎でチョウザメの養殖が行われているのですが、そこから選りすぐりのチョウザメを仕入れて、自分が本当においしいと思う究極のキャビアを自作したいです。

知ってくださっている方もいるかもしれませんが、僕はこの8年くらいずっとカラスミ作りをしています。最初は完全な趣味でしたが、試行錯誤を繰り返して、完成品を友達に配ったりしているうちに評判になり、料理イベントに呼ばれたり記事を書いたりするようになりました。
今、「カラスミ 作り方」とGoogle検索してトップに出てくるのは僕が書いた「美味しいカラスミの作り方」という記事です。

自作のカラスミ(画像提供/借金玉)
自作のカラスミ(画像提供/借金玉)

カラスミ作りにはすでに100万円くらい投資していると思います。
まず、カラスミの原料となる “ボラ子”(ボラの卵巣)は、良いものだと市場で1キロ5万円くらい。思い切って高級品を仕入れたのに、裏面が千切れた使いものにならないボラ子を摑まされたこともあります。掴まされるほうが悪いというのが市場の掟で、これも経験です。塩抜き(酒漬け)に使う酒も、「魔王」とか「獺祭」とか高級酒を使って色々試しまくりました。その結果、安いウォッカの水割りに、ちょっとした秘密の調合を施すのが一番おいしいという結論にたどり着いたのですが、それも様々な可能性を試したからこそわかったことです。他にも塩の種類とか、真空パックの方法とか、お金と時間を使ってやってみなければわからないことが山ほどあって、それを一つひとつ潰していったことで、自分で本当においしいと思えるカラスミレシピに辿りつきました。

極上のカラスミには、真空パックのクオリティも超重要(画像提供/借金玉)
極上のカラスミには、真空パックのクオリティも超重要(画像提供/借金玉)

それを今度はキャビアでやりたいのです。
どんなさばき方や塩漬けをすればおいしいキャビアが作れるのか、あらゆる可能性を試してみたいです。
普通のキャビアを作ってもつまらないので、一番やってみたいのは“干しキャビア”。ほとんどの食材は水分を飛ばして凝縮するとおいしくなるのですが、イクラは干してもおいしくなりませんでした。でも魚卵が干すのに向かないのかというとそうでもなくて、カラスミも干せばおいしいし、タラコも干したり焼いたりするとおいしいですよね。じゃあキャビアも干したらおいしくなる可能性があるのではないか!? と、期待と興味が膨らんでいます。

世界三大珍味を干したらどうなる!?
世界三大珍味を干したらどうなる!?
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借金玉

しゃっきんだま
1985年、北海道生まれ。ADHD(注意欠如・多動症)と診断されコンサータを服用して暮らす発達障害者。二次障害に双極性障害。幼少期から社会適応がまるでできず、小学校、中学校と不登校をくりかえし、高校は落第寸前で卒業。極貧シェアハウス生活を経て、早稲田大学に入学。卒業後、大手金融機関に就職するが、何ひとつ仕事ができず2年で退職。その後、かき集めた出資金を元手に一発逆転を狙って飲食業界で起業、貿易事業等に進出し経営を多角化。現在は、不動産営業とライター・作家業をかけ持ちする。著書に『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』(KADOKAWA)『発達障害サバイバルガイド』(ダイヤモンド社)がある。
Twitter @syakkin_dama

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