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爪切男×川村エミコ“同級生対談”。「本の中の爪少年は『鬼龍院蓮』と名乗っていいくらいイケメンなところがたくさん!」

本日4月26日、爪切男さんの3か月連続刊行のラストを飾る新刊『クラスメイトの女子、全員好きでした』が発売されました。少年時代に恋したクラスメイトたちに送る、時空を超えた全20篇のラブレターのような素敵なエッセイ集です。

この発売を記念し、爪切男さんと川村エミコさんの“同級生対談”が実現しました。実は、昨年10月、川村さん初エッセイ集『わたしもかわいく生まれたかったな』が発売された際にもトークイベントを行なったお二人。
約半年ぶりの再会に、対談は序盤から大いに盛り上がりを見せました!

※本対談は4月中旬に、撮影時以外はマスク着用など感染対策に配慮しながら取材と撮影を行いました。

(撮影/齊藤晴香、聞き手・構成/よみタイ編集部)

久々の再会とは思えないほど息の合ったトークを繰り広げたお二人。
久々の再会とは思えないほど息の合ったトークを繰り広げたお二人。

「『すごくかっこいい!』って思うところと、『なんだコイツ!』」ってムカつくところがありました(笑)」(川村)

――お二人がこうして会うのは、川村さんのエッセイ出版記念の対談イベント以来ですか?

 そうです。あの時が初対面でお会いするのは今回が2回目ですね。著名な方とはイベントなどでお会いしても一度きりの「点」で終わることが多いので、こうしてまたご一緒させていただけてありがたいです。

川村 10月のイベントは本当にありがとうございました。楽しかったです。私もお仕事で会った人とその後もつながることってなかなかないので、すごく嬉しいです。

 あの後、一度だけツイッターで川村さんが話しかけてくださったことがありましたよね。人生に迷っていた僕が夜中に「もうパイプカットしたほうが楽になれるのかな」とつぶやいた時に、川村さんが「やめた方がいい」とコメントをくださって。まさか著名な方が私の自暴自棄なつぶやきに反応するとは思わないのでびっくりしました(笑)。あのときは仕事やプライベートでいろいろあり過ぎて、正直ちょっと病んでましたね。川村さんにお声がけ頂いたおかげで気持ちがスッと楽になりました。

川村 いえいえ、私は著名でもなんでもなく、地味に生きているだけですから……。パイプカットは今後を左右することですから、まだしないでおいた方がいいぞと思って。「絶対やらない方がいいと思います」と、きっとほかの多くの方も思ったであろうことを、私が言わせていただきました。夜中に思いつくことってロクなことないですからね。

――前回の対談イベントでは、お二人が同級生ということ以外にも多くの共通点があることで盛り上がりました。ともにエッセイでご自身の過去について書かれているという共通点もあります。今回の爪さんの新刊『クラスメイトの女子、全員好きでした』も、少年時代のエピソードを綴ったエッセイ集ですね。

 あとがきにも書いたんですが、今回の本では、けっこう美化して、“いい話風”にまとめているものも多いです。たとえば、しょっちゅう嘔吐をしてしまう女の子の回とか、エピソード自体はうそではないけど、現実はあそこまでの美談ではなくて。自分もまだ子どもだったし、気の利いた言葉が言えないことも多かったんです。大人になった自分が、改めて当時を振り返り、「子供の頃にはうまく言葉にできなかったけど、あのとき本当はこんなことを伝えたかったんだ」という思いも込めて書きました。

川村 たしかに読んだ時に「小説みたいだな」と思いました。綺麗で印象的な言葉もたくさんあったのですが、それはきっと美化された部分だったんですね(笑)。

 登場する女子たち本人にしたら、たまったもんじゃないと思います。勝手にこんな良い話にしてって。

川村 爪さんのことを「すごくかっこいい!」って思うところと、「なんだコイツ!」ってムカつくところがあったのですが(笑)、ムカつくところこそ本当の爪さんが表れていたのかもしれないですね。そういうムカつくところも含めて、自分がクラスメイトの一員になったような気持ちになって読めました。あと、読んでいるうちにどんどん自分の幼少期の思い出がよみがえって深くなっていくのを感じました。嘔吐だったら、私もこんなことあったな、とか。
私は思い出が少しでも多い方が人生は豊かになると思っていて、思い出で生きているところがあるので、過去のことを思い出させてくれる本で、本当にいいなあと思いました。

 ありがとうございます。もっとイケメンにしようと思えばいくらでもできたんですけど、子どもって無知だからこそ、残酷なこととかも平気で言ってしまうものだから、ムカつく部分も残そうと、担当編集とも話していて。だからちゃんとムカついてもらえてよかったです。具体的にどのあたりですか? 教えて頂いて反省しなきゃ。

川村 松浦さんという女子に、赤いワンピースが似合うって声をかけて“あげよう”とか、いちいち上から目線のところがムカつくんですよね!
でも、すごくカッコいいところもあるんですよ。傘をささない女の子と台風の日に出かけたエピソードで、ご両親との関係がうまくいっていない女の子が言葉に詰まって気まずくなりそうな時に「新井さんって河童なんちゃう?」って言うところとか。女の子が困るような状況をさりげなく助けていて、すごくカッコいい。

 昔から王子様気取りをしたがるところがあって、それが上から目線の言葉になってるんでしょうね。でも河童のところとかは、別にカッコよく見せたくて言ったことではなくて、美化もしていないです。

川村 じゃあ頑張っていない、本当のカッコよさじゃないですか!

 昔の彼女にも同じようなこと言われました。彼女が「こういうことを言ってくれたことが嬉しかった」という言葉を僕は全然覚えていなかったり。

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新刊紹介

川村エミコ

かわむら・えみこ●1979年神奈川県生まれ。お笑いコンビ『たんぽぽ』のボケ担当。主な出演作品に日本テレビ『世界の果てまでイッテQ!』、フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』、東海テレビ『スイッチ!』など。
オフィシャルブログ→https://ameblo.jp/sienne04
Twitter→https://twitter.com/kawamura_emiko
YouTubeおかっぱちゃんねる川村エミコ公式動画館→https://www.youtube.com/channel/UCGkqb7PyCVGojtVkAOL58Bg

撮影:齊藤晴香

爪切男

つめ・きりお●作家。1979年生まれ、香川県出身。
2018年『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)にてデビュー。同作が賀来賢人主演でドラマ化されるなど話題を集める。21年2月から『もはや僕は人間じゃない』(中央公論新社)、『働きアリに花束を』(扶桑社)、『クラスメイトの女子、全員好きでした』(集英社)とデビュー2作目から3社横断3か月連続刊行され話題に。
最新エッセイ『きょうも延長ナリ』(扶桑社)発売中!

公式ツイッター@tsumekiriman
(撮影/江森丈晃)

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