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スズキナオ「この世の隅っこの「むう」な話」
たまたま居酒屋で隣あわせた人と話が弾み、そのまま連絡先も交換せずに別れた。
電車の向かい側に座った人をずっと眺めていた。
一期一会といえばそれまでだけど、その時の会話が、表情が、何気ない何かがずっと頭に残って離れない……
スズキナオさんの毎日はそんなモノで溢れている。そこで湧き上がる気持ちを彼はこう表現することにした。
「むう」と。この世の片隅で生まれる、驚愕とも感動とも感銘ともまったく縁遠い「むう」な話。

長期にわたって、同じような夢を繰り返し見る人は結構多いようですが、それにしてもこれはなんとも摩訶不思議なお話です。

同じ町の夢を何年も見続けていたけど、最近そこに突然ショッピングモールが新設された

同じような夢を長期にわたって何度も繰り返し見ることを「継続夢」というらしい

「継続夢」という言葉があると知った。
読んで字のごとく継続して見る夢のことで、同じ場所とか似た状況が繰り返し長期にわたって夢に現れるものをそう呼ぶという。

これがその継続夢に当たるのかどうか自信がないが、私にも繰り返し見る夢がある。
その夢の中で私は必ず誰かに追いかけられている。どういった理由で追われているのかはまったくわからず、とにかく捕まったら恐ろしいことになるという気がして必死で走る。

しかし徐々に私は追い詰められ、背後に追っ手の気配が近づいてくる。「もうだめだ、捕まる……」という絶体絶命のピンチ。恐怖で体が固くなる。
そこで「嫌だ!捕まりたくない!」と全身に力を込めると、プワァーンと体が浮かび上がるのである。血管が浮き上がるほどに体に力を入れることで私は空を飛べるらしいのだ。しかし、その飛び上がり方は間が抜けたもので、すごくのんびりした速度である。少しでも力を抜くと浮遊力は弱まり、体が地面に近づいていく。

必死で力を入れ続けて飛び上がっている自分を、追っ手が呆然と眺めているのがわかる。次第に飛び方のコツをつかんできて、住宅街の屋根を飛び移るように移動していく。だいたいいつもそんなところで夢は終わる。

空を飛ぶ自分を追っ手はどう思っているのか……夢の中とはいえ
空を飛ぶ自分を追っ手はどう思っているのか……夢の中とはいえ

眠りながら全身にグーッと力を込めているからだろう。この夢を見て起きるといつもぐったりと疲れている。
うんざりするのだが、また忘れた頃にほぼ同じ夢を見るのだ。たまに夢の中で「あ、これ、力を入れたら飛べる夢だ!」と気づけることもあって、そういう時は「はいはい、わかったわかった」とちょっと投げやりな気持ちでプワンプワンと空を飛んだりする。

以上が私が繰り返し見る夢の概要である。何かに追われる夢を見るという話はよく聞くし、これぐらいの夢なら多くの人が日常的に見ているかもしれない。
しかし、先日私が友人から聞いた夢の内容は確実に「継続夢」だと言い切れるものだった。

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スズキナオ

1979年東京生まれ、大阪在住のフリーライター。
WEBサイト『デイリーポータルZ』『メシ通』などを中心に執筆中。テクノバンド「チミドロ」のメンバーで、大阪・西九条のミニコミ書店「シカク」の広報担当も務める。
著書に『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』、パリッコとの共著に『酒の穴』、『椅子さえあればどこでも酒場 チェアリング入門』、『“よむ"お酒』など。
Twitter●@chimidoro

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