2020.8.4
泣き虫番長・清原和博の今後の活躍を見守りたい〜清原和博(元プロ野球選手)
「清原和博」という名前を聞いて、思い出す顔はどの顔だろうか。
PL学園高時代、桑田真澄とともに「KKコンビ」と呼ばれ、甲子園に5季連続出場した頃か。
或いはドラフト会議で意中の巨人から指名されず、唇を噛んで涙を流していた姿か。
私は「清原」と聞くと、秋山幸二と西武のクリーンナップを担い、アベックホームランを連発していた「AK砲」のイメージが真っ先に思い浮かぶ。水色のユニフォームに身を包んだ清原は、西武黄金期の象徴でもあった。
そんな清原が1996年、FA権を行使して巨人に移籍することが決まった時、「あぁ、やっぱり巨人への思いは断ち切れなかったのだな」と感じ、ぜひ頑張って欲しいと思ったものだ。きっと多くの野球ファンも同じように思ったに違いない。
ところが巨人に入団してから、清原の風貌は段々と変化していった。色黒になり、体が一回り大きくなり、坊主頭になり、スポーツ紙や週刊誌において「番長」と称されるにふさわしい厳つい見た目になっていったのである。それでも、清原のトレードマークであった八重歯はまだあどけなく口元からのぞいていた。
2005年、巨人から戦力外通告を受けた後にオリックスに入団した清原は、3年後の2008年に現役を引退した。この年には清原の口元から八重歯も消え、真っ白い歯が真っ黒い肌に一層映えるようになっていた。1985年夏の甲子園、宇部高との決勝戦でサヨナラ勝ちし、金属バットを高く掲げたまま歓喜の輪に加わっていたPLの清原の面影は、もうほとんど見られなくなっていた。
先日、テレビ出演している清原をふと目にした。
周知のとおり、清原は2016年に覚せい剤取締法違反で逮捕され、懲役2年6カ月、執行猶予4年の有罪判決を受けた。今年6月15日にその執行猶予期間が満了し、清原の薬物依存体験がテレビで特集されたのである(日本テレビ系「ザ!世界仰天ニュース」2020年7月28日放映)。スーツ姿の清原は神妙な面持ちで登場し、かつて「番長」と呼ばれたような威圧感は影を潜めていたものの、その恰幅の良さや頬をぐるりと囲う白髭は、時の流れを否応なく感じさせた。同級生の桑田が、52歳になっても「PLの桑田」のイメージとさほど変わらない印象を保っているのとは対照的である。
この番組内で、MCの笑福亭鶴瓶は「元のあんな素晴らしい人(清原)に変わって(戻って)もらいたいと思う」とコメントしていた。「元の清原」とは、一体いつの清原のことなのだろうか……と考えるに、確かに清原の風貌は大きく変化してきたが、その中身はずっと変わらなかったのではないだろうか。
というのも、なぜか常に清原は泣いていたような気がするからである。