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ブンゴウ泣きたい夜しかない。~文豪たちのなんだかおかしい人生劇場

【文豪と三角関係】早逝した天才詩人・中原中也と運命の女・長谷川泰子、盟友・小林秀雄との「奇妙」な三角関係(前編)

目指すは東京、そしてそこで待っていたのは……

この頃、中也が知り合った友人に富永太郎という男がおりました。富永は中也の6歳上で画家を志す青年でしたが、中也は富永を文学の話ができる男として信頼しており、富永との交友のために近くに引っ越していくほどでした。

その富永が肺結核を患ったため東京に戻ると、追いかけるように中也も上京し、泰子と共に東京での生活を始めます。どこか大学に入らないと親からの仕送りを止められかねない中也は早稲田大学の受験を考えますが、もちろん勉強なんかしていません。一計を案じた中也はなんと友人に替え玉受験を依頼します。結局この替え玉作戦は書類の不備で取り止めとなりましたが、依頼された友人もたまったもんじゃないですね。
替え玉作戦が駄目になった中也は日本大学を受験することにしますが、今度は試験当日に30分遅刻したため試験会場に入れてもらえず、あえなく浪人生となったのでした。

結局どこの大学にも入れず予備校生となった中也は、泰子と東京・中野のアパートで生活を始めます。
ある雨の日のこと、一人の男が傘も持たず濡れながらアパートの軒下に駆け込んできます。
「奥さん、雑巾をかしてください」……男は泰子に声をかける。

「その人は雨の中から現れたような気がした」と泰子はのちに回想していますが、この男こそが中也にとって生涯の盟友となり、恋敵にもなる小林秀雄という男だったのです。
(後編へと続く)

後編の公開は4月21日(水)の予定です。どうぞお楽しみに!

※本コンテンツ内の文章・画像については無断転載・複写・引用を固く禁じます。

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進士素丸

しんじ・すまる●1976年2月生まれ。ライター・文筆家。「文豪どうかしてる逸話集」(KADOKAWA)著者。文豪や歴史にまつわるツイートも話題に。
雑誌・ウェブ媒体などに寄稿しつつ、映像制作やデザインなども手掛ける。

Twitter●@shinjisumaru

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