2022.4.28
推しの卒業式で涙を堪えた柴田勝家──秋葉原の中心で〈永遠〉を考える
秋葉原の永遠
──もし生まれ変わって、また巡り会えるなら、その時もきっとアタシを見つけ出して。
とは『ダイアモンドクレバス』の歌詞の一節だ。とはいえ、見つけ出したのはワシ個人などではなく、事情通の秋葉原のオタクたちだった。
「あ、翔ちゃん」
戦国メイド喫茶を卒業した後、きゃりんちゃんは一年ほどアイドル活動をしていた。ワシは当然のようにアイドル現場に通って彼女のことを応援していた。さらにアイドルグループが解散した後、彼女は秋葉原の有名メイド喫茶へ転職を果たし、かなりな人気メイドとなった。
「や、久しゅう」
「ほんとだよー、全然来てないじゃん。あ、そだ、あのエッセイ読んだよ! すごいね!」
で、つい先日もワシは彼女のいるメイド喫茶に足を運んだ。
「あんな昔のことよく覚えてるね? 記憶力いいよね。てか、いつだっけ、七年前?」
「いやまぁ、はは」
何年経っても変わらず、彼女は明るく話しかけてくれる。
「ヤバ、お互いに年とったね~。こわっ! あ、ちょっと行ってくるね!」
初めて会った時と同じように、今も彼女は周囲を見回して忙しなく動いていた。その姿を見られるだけで嬉しかった。
どうやら、秋葉原の永遠は未だに続いているらしい。
次回から第2部がスタート! 連載第13回は5/12(木)公開予定です。