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せきしろ「東京落物百景」
落とし物の数だけ、物語がある――落とされたモノにも、そして落とした人にも。
『去年ルノアールで』『たとえる技術』などの著作で知られる作家せきしろが、東京の街の片隅で、本当に見つけたさまざまな落とし物について考える妄想ノンフィクション。

前回は、摩訶不思議な「買い物メモ」に書かれたアイテムを、落とし物で探してみた著者。
今回は、通勤、通学、移動時のマストアイテム「イヤホン」を発見したようで――

落とし物を発見して改めた思った、イヤホン5つの悲劇

都内の路上で発見した「イヤホン」。落とし主はどんな曲を聴きたかったのだろう?(写真/ダーシマ)
都内の路上で発見した「イヤホン」。落とし主はどんな曲を聴きたかったのだろう?(写真/ダーシマ)

誰しもが経験する、イヤホンがない悲劇

音楽を聴こうと思い立った時ほど当たり前だが音楽を聴きたくなる時はない。昨日買った曲を聴きながら歩こうと考えていた時や、春の陽気が昔を思い出させて懐かしい曲が聴きたくなった時とか、そんな時は何よりも音楽が優先される。

はやる気持ちを抑えながら早速ポケットや鞄からイヤホンを取り出すのだが、この時大きく分けて5つの悲劇に遭遇することがある。

①イヤホンがない(忘れた)
②イヤホンがない(落とした)
③イヤーピースがない
④断線している
⑤絡まっている

①や②の場合はもうどうしようもない。まさに悲劇だ。家に忘れたなら取りに帰る、あるいは電器店に行って新しいイヤホンを購入するなどの方法がなくもないが、時間的にも経済的にも諦めることになるが常だ。

③は“イヤホンあるある”のひとつであるイヤーピースがない悲劇だ。探せば鞄の隅などにある場合も多いものの、それでも見当たらない場合はこれまた諦めるしかない。

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せきしろ

せきしろ●1970年北海道生まれ。主な著書に、映像化された『去年ルノアールで』や、映画化された『海辺の週刊大衆』、『1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった』(共に双葉社)など。また、又吉直樹氏との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』(幻冬舎)、西加奈子氏との共著『ダイオウイカは知らないでしょう』(マガジンハウス)も。
ツイッターhttps://twitter.com/sekishiro

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